カテゴリ:本と言葉( 87 )

又吉先生の「劇場」を読んで

c0228646_18432453.jpg
「劇場」(新潮社)又吉直樹著

読みましたよー。スタバで一気に。
「3作目までは自分のことで書けば作品になる」と某雑誌の編集長が言っていたけれど、まさに又吉さんとオーバーラップする感じの主人公。本人はインタビューで恋愛小説と言っていたけれど、これは人間ドラマですね。告白も、濡れ場も、キスシーンもありません。

内容は、小さな劇団を主宰していて全く仕事がない脚本家の男性が、ある性格のいい女の子と知り合い同棲する。夢を追いかけるが口ばっかりなコンプレックス主人公と、自己犠牲が過ぎるできた女の子の物語。
まるで太宰治の小説を現代版に書き直したかの内容で、又吉先生はよほど太宰が好きやな~と感じたのは私だけではないでしょう。

昭和の歌で「神田川」ってありましたよね。「若かったあの頃~何も怖くなかった~、ただあなたの優しさが怖かった~。」
そんなBGMがかかってそうな。

かの渡辺淳一先生が、着物が似合う凛とした芯の強い女性をいつも小説の常に主人公にしたように、又吉先生もきっとこの主人公のような昭和っぽくて、自分の夢を捨ててでも誰かに尽くす、自己犠牲型で、でもちょっと弱い、そんな女性が好きなんだなぁと。

例えば、「そろそろ、光熱費くらい払ってくれないかな?」という彼女に、ヒモ生活をしている主人公は「君の家の光熱費を僕が払うのはおかしない?」とのたまう。ホントはひどいやつだと心ではわかっている。でも彼女は「それもそうだよね。」と返す。

小説としてうまいかどうかは賛否が分かれると思うけれど、書きたかったものを書いたというのが深く伝わり、私には面白かったです。世界観がだんだん確立されてきましたね。前作よりは確実に面白いです。でも、ちょっと評価甘いかも。又吉先生をコメディアンとして好きなので!

蹂躙(じゅう‐りん)という言葉が3回もでてきます。意味は「ふみにじること。暴力・強権などをもって他を侵害すること。」「弱小国の領土を―する」「人権―」。なぜ、こんなインパクトのある言葉を3回も?と思ってしまいました。なんか意味があるのですか?


そろそろ蔦屋の古本に並ぶと思います。笑)




by kitchenparadise | 2017-05-18 19:13 | 本と言葉

50歳からの聡明な生き方 桐島洋子著

50歳からの聡明な生き方~しなやかに人生を楽しむ37章~
桐島洋子著 大和書房
c0228646_13064433.jpg
先日もこの本の一節を少し紹介した。
おそらくタイトルは編集者がつけたのだろうと思う。私が読む限り、50歳以上の人向けというわけではないので、若い方にどうかしらと。

本の内容は、いつもの桐島節で、
「聡明とは、頭の中身だけではなく、こころのありようを含めたもの。」
「本物を見抜く目を磨き、人生のお守りにすべし」
「ダイエットはバランス。好きな男の前で裸で横切れるかどうかが基準」
「女性は誇りをもって母になろう」「女の弱さほと、醜い危険な武器はない」
「アンチ温暖化の生活作法」「食の安全は自分で守る」
などなどあらゆる時論が綴られていて、ちょっと異論を唱えたくなるところも含めて、楽しく読み終えた。

30年以上前に書いたベストセラー「聡明な女は料理がうまい」では、これからの女性は自立して自由になるべきだという女性解放の旗振り役にして、女性はいまこそ料理力を上げ、台所の権利を手放さないべきだというような逆行する考えを発表したことが話題だった。

単純に「働く女性は料理が手早い=聡明だ」という意見には共感しないが、家事より仕事のほうが価値があるように思える間違った日本社会の方向性を問題視したことには、考え方は違っても納得する部分も多い。

イヤイヤ料理はみじめな労働(レイバー)

わくわく料理は最高の活動(アクション)

桐島さんらしい、わかりやすいキャッチ。

確かに料理はわくわくしながらするのがいい。私も来客があると思うと、張り切るしわくわくする。
何を作ってもとなそうか、楽しませようかというのがわくわくのもの。常に相手に恵まれているとも言えるかもしれない。喜んでくれる相手しか来ないのも、わくわくを助けている。

ただ、常にわくわくではない。家族に作る時はちょっと違っていて、健康や安全のことを先に考える。添加物や農薬を避けたほうがいいとか、体に負担のない料理がいいとか、時間の無い中で手早く作らなければいけない。だからおもてなし料理でなく、シンプルで十分。プレッシャーもない。ハードルなんて低くていい。
私にとって家庭の料理は、雨が降りそうな朝、家族のカバンにそっと折り畳み傘をいれておくような気持だと思う。

料理がプレッシャーだという方もいる。
そんな方が桐島節を読むと、さらにプレッシャーになりそう。
そんな無理しなくていい。折り畳み傘を入れるくらいの気持ちで、作ったらどうでしょう。
茹でるだけ、焼くだけ、ごはんと具だくさんみそ汁だけでも十分。
昨日、紹介した木のセイロの蒸し料理なんて、手早く心を込めるにはいいと思うけれど、いかが?
昨日のセイロブログはこちらで。
道具でだいぶ楽になるはず。






by kitchenparadise | 2017-05-12 14:28 | 本と言葉

まな板をほってほって掘りつくす本

c0228646_13360795.jpg
石村眞一先生の「まな板」という2006年に書かれた本を読んでみた。
法制大学出版局からでているシリーズ「ものと人間の文化史」のひとつで、本というより論文だ。

日本をはじめアジア、ヨーロッパの各地で多種多様なまな板を調査し、それらを比較・分類して、その使用法と食文化との関係を探る。さらに、考古・文献・絵画・写真資料を駆使して、まな板の変遷と台所や家具とのかかわりの歴史を描く、とまぁおかたい本。モノはまな板なのに、ホントにお堅くっていわゆるオタクで、私みたいなものにとってはたまらない。

目次が、第1章 俎・まな板の起源と中国における展開 第2章 日本の古代から中世に使用された俎・まな板 第3章 日本の近世に使用された俎・まな板 第4章 日本の近代に使用されたまな板 第5章 世界のまな板文化 第6章 現代のまな板  

どの世界にもオタク的な本はあるんだろうが、「まな板」だけで一冊。約3200円。すてき。

本では、福島県の女子学生に自宅のまな板を調査させている。

Q あなたの家のまな板の材質は?

A・木製61名 ・プラスチック製75名  

地方ということもあり木製が多い。
それでもやはり今はプラスチックのほうが多い。

Q 木のまな板の種類はどんな木製ですか?

A・ヒノキ20名 ・マツ2名 ・スプルス2名 ・イチョウ1名 ・キリ1名 ・ヤナギ1名 ・ホウノキ1名 ・サワラ1名 ・解答なし31名

このような感じで、大きさや厚みやどこで使っているかなどもアンケートしている。一見どうでもいいような調査だけれど、私には興味深い。
解答なし31名は、なんの木材が知らずに使っているのが半数以上ってこと。ほ~。結構そういうものですか。
木によってかなりちがうのだけどなぁ。

これまで、様々な種類の木のまな板を使ってきて、私が感じた木によっての違い。

ヒノキ:一番出回っているので使っている人が多い。抗菌性に優れている。刃あたりが良く包丁には優しい木材。

イチョウ:水はけがいい。弾力性がある。ややかびにくいと思う。反りにくい。刃の傷が少しもどる復元力がある。ちょっと軽い。

ヒバ(私のは青森ヒバ):とてもカビにくい。独特の香りがあり、抗菌性に優れている。

どれを選びますかって言われても困るけれど、使い方さえ間違えなければどれでも長くカビさせずに使える。

まな板の使い方はこちらのブログを一度ご覧ください。





by kitchenparadise | 2017-04-22 13:50 |

100人に1人がサイコパス!?

「サイコパス」
中野信子著(文春新書)
c0228646_11430700.jpg

非常に興味深い本で、一気に2回も読んでしまった。著者の中野信子先生がテレビ番組で「トランプ大統領は非常にサイコパス傾向のある方と思われます」とコメントしているのを思い出して、本屋で買ってみた。サイコパスは異常心理の持ち主でほとんどが犯罪者だと思い込んでいたけれど、本を読んでだいぶ違うとわかったし、100人に1人の割合で存在し、どんな時代にも居たということも納得し、スッキリした。

確かに犯罪者にサイコパスはとても多い。とんでもない犯罪を平然と遂行する。反省どころか被害者の気持ちが分からない。この1週間、テレビにでてくる容疑者を並べてもサイコパスだらけだ。

だが、犯罪レベルでないサイコパスもたくさんいる。

著者はサイコパスの特徴をあげている。

①外見や語りが過剰に魅力的で、ナルシスティック
②恐怖や不安を感じにくく。大舞台でも堂々とみえる
③多くの人が倫理的な理由でためらいを感じたり、危険に思ってやらなかったりすることも平然と行うため、挑戦的に勇気があるようにみえる。
④お世辞がうまい人ころがしで、有力者を味方につけていたり、崇拝者のような取り巻きがいたりする
⑤常習的にウソをつき、話を盛る。自分をよくみせようと、主張をコロコロかえる
⑥ビックマウスだが飽きっぽく、物事を継続したり、最後までやり遂げることは苦手
⑦傲慢で尊大であり、付き合いがなくなった相手を悪く言う。
⑧人当たりは良いが、他者に対する共感性そのものが低い。


すべてでなく、このいくつかに当てはまる人はサイコパス、サイコパス傾向ということらしい。
もうすでに何人か思い浮かべることができるかもしれない。
サイコパスはとても魅力的に人をひきつけることから、経営者には特に多いという。

脳内の器質のうち、他者に対する共感性や「痛み」を認識する部分の働きが、一般人とサイコパスとされる人々では大きく違うらしい。
もうつまり、サイコパスに正しいことをわからせようとしても、わかったふりはできても変わらないというわけである。脳のしくみなのだから。

本には、サイコパスがもてる理由や、環境によって変わるサイコパスのこと、他の病気との合併症、サイコパスの自己診断など、いろいろ掘り下げてあって、どの項目も非常に興味深い。

まわりに当てはまる人がいませんか。距離をおくしかないらしいです。近づかないこと。



by kitchenparadise | 2017-04-19 12:39 |

「彼が通る不思議なコースを私も」

c0228646_14195881.jpg
最近、白石作品に凝っている。福岡在住ということで地名になじみがあり、登場人物に不思議ちゃんが多かったり、ミステリーではないのにどんでんがえしがあったりして面白かったこともあり、もう4冊続けて読んでいる。

この「彼が通る不思議なコースを私も」という小説も、登場人物がちょっと不思議な小学校の先生。家庭に問題を抱えた生徒に首をつっこまずにはいられない。
熱血というより若く信念のある先生で、強靭なメンタルの持ち主でもある。給食で温かいおかずが食べられないという特異体質をもつ生徒の家庭にも首を突っ込んでしまい、学校を辞めさせられてしまう。

その男の子のシングルマザーもまた心の病をもっていることがわかる。それは、台所症候群という病だった。
初めて聞いたが、実際にある病らしい。

「価値観の多様化を背景に増加している主婦症候群の一つで、主婦が家事に対する虚無感におそわれて、台所に立てなくなる自律神経症」ということ。
主人公のシングルマザーはキャリアウーマンだが、実際には結婚を機に仕事を退職、もしくは仕事をせずに結婚し家庭に入った女性に多くみられるらしい。
主婦・妻・母親の役割りをこなすべきだという概念に縛られ、逆にそれがうまくいかなかったり、それに対する不満や不安感のストレスが原因となる場合が多く、育児ノイローゼなどと同じような病気らしい。この状態から台所に立てなくなるのが台所症候群で、やらなければと焦るほど何もできなくなるという。

小説の中のシングルマザーには原因がある。夫の母親がとても料理が上手で、父子家庭で育った妻の料理に不満で食べたがらなくなる。しまいには外で食べると偽ってひとり実家に立ち寄ってご飯をたべる毎日。「君の料理はまずいんだ」と言われたことがネックになり台所が避けたい場所になっていく。離婚。というわけだ。
離婚後、息子はコンビニ弁当ばかりを食べるため、温かい食べ物を受け付けなくなってしまったとうあらすじだった。

「役割をこなすべき。ねばならない」にとらわれるとロクなことはない。とらわれるのは、無神経よりまだやっかいだ。
料理に限らず、妻として、母として、社員として、社会人として、縛られるとそりゃぁ病気になる。かといって、とらわれるなと言われてもとらわれるんだから仕方ない。

料理家、桧山タミ先生が私に常に言う「がんばらんでいいとよ。」というのは、それを言っているだろうと思う。がんばらなくていいけれど、誰かのために作りたいと思った時のために、余裕があるときにちょっと準備しておけばいい。
13年前、桧山先生がから言われた「おにぎりがにぎれれば上等よ」。これが、心の病の一歩手前だった私を救った言葉だったのだと改めて思う。
あの時、がんばらなかったおかげで、今は料理が楽しくて仕方ない。

白石作品はなかなか面白い。よかったらどうぞ。







by kitchenparadise | 2017-04-07 15:10 | 本と言葉

マイナスエネルギーは圧倒的に強い

友人から面白いから読んでみたらと言われた本。
c0228646_14013384.jpg
中園ミホといえば、ドクターX外科医や花子とアンなどを書いた脚本家。ドラマをほぼ見ない私も知っている。
彼女は10歳に父を亡くし19歳で母を失くしている。OLになるも、仕事ができず失敗ばかり。水商売にやってみるが、全く向かずすぐに断念。結局母の友人の占い師の先生のアシスタントをきっかけに、自身も占いを勉強し、これがなかなか成功するのである。
脚本家になったのは失恋がきっかけらしい。26歳の頃、路上でであった大物脚本家を好きになり一方的にストーカー化し、振られる。この恋が諦められず、彼の書いた本を半年かけて写経のごとく書き写す毎日で、脚本の面白さに気が付いたという。なんともおもしろい人生なのだ。
彼女の脚本は取材でてきている。ハケンの時も、ドクターの時も、それぞれの職業の人を飲みに誘って徹底的に何度も何度も話を聴く。裏側にある深い本音を聞き出すことに面白さがあるという。
貧乏だったり、両親が亡くなったり、普通の仕事には到底向かなかったという過去からだろう。恵まれない状況から這い上がる人や遅咲きの人、過酷な条件で働く人など惹かれて書いたのであろうという作品が多い。
人ってやはり、恵まれた環境でうまくいく人より、逆境をバネにしてきた人のほうが圧倒的に強いなぁと思う。

読み終えた後、昨日SWICHという番組を観ていたら、私が好きな作家のひとりである宮本輝が出ていて、生い立ちを語っていた。

彼は、中学の頃から小説家に憧れるようになったらしい。

父が仕事で失敗し浮気。母はアルコール中毒のようになった。彼が中2の頃、親戚のところへ行くと出て行った母は、そこで睡眠薬を大量に飲んで自殺を図る。「すぐにこい」と言われるが、行けば母が死んでしまうような気がして、押し入れに入って井上靖の「あすなろ物語」を読み始める。
途中まで読んだところで、父がやってきて母が一命を取り留めたことを聞く。彼は最後まであすなろ物語を読み続ける。
その時のことを「感情移入ができたからか、それはそれはおもしろい小説だった。こんな人の心を動かす小説が書いてみたいと思ったのはその時だった」と語っていた。
大学卒業後、広告代理店に就職するも作家の夢をあきらめられず27歳で退職。30歳、「泥の河」で太宰治賞を受賞して映画になったのは有名だ。私も20歳の頃、「ドナウの旅人」という宮本作品にはまった。引き込まれるような内容で、一気に本好きが加速した。
数々の名作は、やはり逆境がベースだったと聞くというのはうなずける。

中園ミホは言う。「どんな人にでも運気はある。強運とそうでない人の違いは、タイミングを捕まえる違いだけだ。」
一見、マイナスだと思う経験がある人ほど、タイミングを掴むと強いのは間違いない。
マイナスエネルギーは大きなプラスのエッセンスになっている。


by kitchenparadise | 2017-03-23 14:50 |

小説と映画、そして道具

「一度発明されちゃったものは、なかったことにはできないの」
c0228646_12581356.jpg

これは「罪の終わり」(東山彰良著・新潮社)の一節。

2100年後半のアメリカで、人々が飢え、食人行為が正当化されていく時代を舞台にした小説で、主人公ナサニエルに、眼球に埋め込む「VO」手術をどうしても受けさせたいと願う彼の母親が発した言葉である。
この「VO」は、眼球装着型の人口知能(?)のようなもので、装着すると脳が覚睡し、身体能力が上がり、ニュートラルネットワークの情報を見ることができる。お金のある人のほとんどはVOを装着している。
貧困だったピアもやっと息子に装着はさせたものの、皮肉にも「VO」は小惑星の接近により不具合が生じてしまう。
この小説は人間の倫理観のタブーをテーマにしている。圧倒的な迫力があり、衝撃的。「流」に続くすばらしい作品だった。


先週、その本の著者、古い友人でもある東山さんが店を訪ねてくれたので、「あのVOはよくぞ思いついたね。世界中が究極な便利求めて、最後は小惑星で不具合かぁ。」と話したところ、
「それならね、サバイバルファミリーもある意味似てるから観たら?電気やガスが全部ストップした家族の奮闘話。なかなかだったよ。」と彼。
それで、さっそくレイトショーに。

c0228646_13130923.jpg

うーん、とても面白い!
そうきましたか!小日向さん主演らしく、十分コミカルなエンターテイメントなのに、観た後はかなり考えさせられる映画だった。ある日突然、地球から電気が消えたという変わった設定。電気はおろか、電車、自動車、ガス、水道まで、電気を必要とするあらゆるものが、完全にストップする。廃墟寸前となった東京を、鹿児島の実家に向けて小日向家族が自転車で脱出するというお話。
エラそうなわりには家族を守れない父、魚もさばけなかった母、スマホ命だった娘、授業はすべて撮影してパソコン保管していた大学生の息子。最初はお互いに文句ばかりだが、生きぬいていこうとするサバイバル状態を通して、家族で向き合い団結していくのがワクワクする。

子供たちを連れて観に行ったほうがいい。オススメ。

「便利がかえって不便を生むのよ」というのは料理家の桧山先生の口癖。
とはいえ、ナサニエルの母がいうように、一度発明されたものは、もうないことのはならないのも事実。

パソコンやスマホのようなここ数年で当たり前になった便利な機器もなかったことにはならないし、台所道具で言うと、電子レンジ、冷蔵庫、フードプロセッサーなどもなかったことにはならない。半世紀前までは、レンジの代わりに蒸し、冷蔵庫の代わりに干物にし、フードプロセッサーの代わりにすり鉢だった。便利にはなったけれど、それが無くては生きられなくなった現代人を考えると恐ろしくもある。

「発明されたものはなかったことにはできない」世の中で、私たちが何を選択して、何をできるように、何を子供たちに伝えていくかは、発展よりも大きな大きな課題だと思った。責任は、私たちもあると思う。

追記:このblogを書き終えたあたりでお嬢の担任から電話があった。美術の時間に版画用のナイフで指をざっくり切ったのだと。まあね、小型ナイフやら使わせたことないからね〜。なんでもさせておくべきだなぁと、改めて。

by kitchenparadise | 2017-02-16 13:49 |

本日は、お日柄もよく

c0228646_17102433.jpg
「本日は、お日柄もよく」と面白いタイトルの本は、原田マハさんの小説。年末に「ソワニエ」の弓削編集長から勧められて読んでみたら、なるほどテンポがよく面白い本だった。

フツーのOLが、参列した披露宴で素晴らしいスピーチを聞き、選挙のスピーチライターに憧れて成長していくという話。心に残る感動のものがたりというより、青春奮闘モノに、自己啓発のような側面も持ち合わせている。

今日、西日本新聞の「春秋」(朝日新聞でいうところの天声人語)の欄は、この本の紹介から始まっていた。

「言葉は世界を変える力がある、と信じる見習いライターの奮闘が描かれている。(中略)国家があなたに何をしてくれるかでなく、あなたが国家のために何をできるか問いたまえ。ケネディ大統領の就任演説もライターが手掛けた。」
西日本新聞の春秋では、この後、安部首相の「訂正でんでん」の失態の話題につながる。


その失敗はいいとして...あのトランプ大統領の演説もスピーチライターがついていたのだろうかと疑問に思ってしまう。
「アメリカを偉大に、安全にする」というのが至極当然のことだけれど、「アメリカファースト。アメリカファースト」の繰り返しは、ちょっと恐ろしく聞こえた。
小池さんの「都民ファースト」と何が違うんだろうかとアメリカ帰りの友人に聞くと、
「都民は人、アメリカは国だよ」と分かりやすい答え。なるほど、納得だ。

いろいろ書きたいけど政治的なことなのでやめとこ。

マハさんの「本日も、お日柄がよく」を読んで、改めて思った。

心を打つのは上っ面じゃない。結局は人柄だ。そして伝えようとする熱意。
本はなかなか興味深いのでぜひどうぞ。
by kitchenparadise | 2017-01-27 18:15 |

お気遣いいただき。

今週、ラボの水栓が漏れだしたので、管理会社経由で工事担当者さんにきてもらうことにした。

「お急ぎで申し訳ないのですが、いま大宰府なのです。終わったらすぐに伺います。
13:00過ぎくらいだと思います。」とのこと。

水を出さなければ漏れませんから急ぎませんよと言って電話を切った。

予定通り13:00頃来てくれて、30分間ほどの作業が終了。

お礼を言って玄関で見送る時、大宰府の現場から昼食抜きで駆けつけてくれたであろう彼にお礼を言った。
「急いでくださったんで、お昼まだですね。お腹すいちゃったでしょう。ごめんさいね。」と、簡単に。

その工事の方は、閉めようとしたドアを、また開けて、まっすぐこちらをみて、こう返してくれた。
「今から食べるようにしていますから大丈夫です。お気遣いいただき、温かいお言葉ありがとうございます。」
しかも、機材を下において、一礼された。私の目をみて、ニッコリして、ドアを静かに閉めた。

笑顔と、丁寧さと、それでいて親しみやすさのある彼との短い会話で、なんだか丸一日いい日になった。

同じありがとうでも、伝わるありがとうとそうでないのがある。
「お気遣いいただき」っていうその言葉通りの気持ちが伝わってきた。

ことばって大事だけれど、その前にその心があるかないかは、わかっちゃうよねって思う。

こちらこそ、ありがとうございました。
by kitchenparadise | 2017-01-14 18:11 | 本と言葉

「彼とごはん」と「日本の味」

c0228646_1593457.jpg

とてもすばらしい本が2冊でました!松田美智子先生の本です。
「日本の味」  (主婦と生活社)
「彼とごはん」  (世界文化社)

「日本の味」
家庭料理の基本的な味付けと、長く使える道具を紹介している本。松田美智子先生ならではの内容だと、うなずきながら読みました。すごくよいです!すばらしい。
いまの流行とか省略形とかじゃなく、かといって難しすぎるわけでもない。本物の作り方、本物の道具が学べる、本物ばかりの内容になっています。私たちのように我流でつくっている中堅主婦にも、これから料理を始める方にもぜひ手にとってもらいたい内容です。
松田先生らしいのが、煮物は土鍋で、炒め物は鉄で、おろしは竹やセラミックで、まな板は木で、蒸しは木の蒸篭でと、とにかく理にかなった道具ばかりなところ。
こんな本を娘にもたせたいと思いました。
待ってました!って感じです。

「彼とごはん」
松田先生が彼ごはんの本!?と最初は思ったんですが、パラパラとめくってみて、すぐに納得。
先生らしいです。
男子が好きな、ハンバーグ、から揚げ、カレー、エビフライなど、シンプルな料理がラインナップされていて、調味料や材料にこだわり、一番美味しいって言ってもらえるような理にかなった手順が丁寧に紹介されています。
みせかけの彼ごはんでなく、体のことを考え、心をこめた、愛情あふれる作り方なのです。
「日本の味」の内容と比べると、一品をサッとだせるようなメニューが多いのが、「彼とごはん」でしょう。

おススメです。ぜひ和食のバイブルに!
by kitchenparadise | 2016-12-10 15:18 |


福岡の台所道具専門店「キッチンパラダイス」のオーナーAYAの日記。調理道具の実験や考察、お店のお知らせ、そのほか個人的な日常も毎日綴ります。ご連絡はキッチンパラダイスのHPからどうぞ。


by kitchenparadise

プロフィールを見る
画像一覧

ブログパーツ

カテゴリ

全体
道具:キッチン道具全般
道具:フライパンや鍋
道具:銅の玉子焼
道具:スライサーやおろし器
道具:セイロやすし桶
道具:塩壺
道具:まな板と包丁
道具・調理家電
おしらせ(SALE等)
なみじゅう(入荷状況も)
キチパラ講座
私、こう思う
キチパラのなりたち
本と言葉
私の日常と家族
福袋
耳下腺腫瘍顛末記
じゃないお弁当
プロフィール
私が好きなもの、好きな店
未分類

以前の記事

2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月

最新の記事

オリジナル銅ジャム鍋作りました
at 2017-06-27 16:36
「いのち愛しむ、人生キッチン..
at 2017-06-26 14:49
色どり豊かな人生
at 2017-06-25 08:00
究極のスパイスカレー塾
at 2017-06-24 13:36
桧山タミ先生の本、表紙です!
at 2017-06-23 17:13

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

雑貨
本・読書

画像一覧