カテゴリ:本( 59 )

マイナスエネルギーは圧倒的に強い

友人から面白いから読んでみたらと言われた本。
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中園ミホといえば、ドクターX外科医や花子とアンなどを書いた脚本家。ドラマをほぼ見ない私も知っている。
彼女は10歳に父を亡くし19歳で母を失くしている。OLになるも、仕事ができず失敗ばかり。水商売にやってみるが、全く向かずすぐに断念。結局母の友人の占い師の先生のアシスタントをきっかけに、自身も占いを勉強し、これがなかなか成功するのである。
脚本家になったのは失恋がきっかけらしい。26歳の頃、路上でであった大物脚本家を好きになり一方的にストーカー化し、振られる。この恋が諦められず、彼の書いた本を半年かけて写経のごとく書き写す毎日で、脚本の面白さに気が付いたという。なんともおもしろい人生なのだ。
彼女の脚本は取材でてきている。ハケンの時も、ドクターの時も、それぞれの職業の人を飲みに誘って徹底的に何度も何度も話を聴く。裏側にある深い本音を聞き出すことに面白さがあるという。
貧乏だったり、両親が亡くなったり、普通の仕事には到底向かなかったという過去からだろう。恵まれない状況から這い上がる人や遅咲きの人、過酷な条件で働く人など惹かれて書いたのであろうという作品が多い。
人ってやはり、恵まれた環境でうまくいく人より、逆境をバネにしてきた人のほうが圧倒的に強いなぁと思う。

読み終えた後、昨日SWICHという番組を観ていたら、私が好きな作家のひとりである宮本輝が出ていて、生い立ちを語っていた。

彼は、中学の頃から小説家に憧れるようになったらしい。

父が仕事で失敗し浮気。母はアルコール中毒のようになった。彼が中2の頃、親戚のところへ行くと出て行った母は、そこで睡眠薬を大量に飲んで自殺を図る。「すぐにこい」と言われるが、行けば母が死んでしまうような気がして、押し入れに入って井上靖の「あすなろ物語」を読み始める。
途中まで読んだところで、父がやってきて母が一命を取り留めたことを聞く。彼は最後まであすなろ物語を読み続ける。
その時のことを「感情移入ができたからか、それはそれはおもしろい小説だった。こんな人の心を動かす小説が書いてみたいと思ったのはその時だった」と語っていた。
大学卒業後、広告代理店に就職するも作家の夢をあきらめられず27歳で退職。30歳、「泥の河」で太宰治賞を受賞して映画になったのは有名だ。私も20歳の頃、「ドナウの旅人」という宮本作品にはまった。引き込まれるような内容で、一気に本好きが加速した。
数々の名作は、やはり逆境がベースだったと聞くというのはうなずける。

中園ミホは言う。「どんな人にでも運気はある。強運とそうでない人の違いは、タイミングを捕まえる違いだけだ。」
一見、マイナスだと思う経験がある人ほど、タイミングを掴むと強いのは間違いない。
マイナスエネルギーは大きなプラスのエッセンスになっている。


by kitchenparadise | 2017-03-23 14:50 |

小説と映画、そして道具

「一度発明されちゃったものは、なかったことにはできないの」
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これは「罪の終わり」(東山彰良著・新潮社)の一節。

2100年後半のアメリカで、人々が飢え、食人行為が正当化されていく時代を舞台にした小説で、主人公ナサニエルに、眼球に埋め込む「VO」手術をどうしても受けさせたいと願う彼の母親が発した言葉である。
この「VO」は、眼球装着型の人口知能(?)のようなもので、装着すると脳が覚睡し、身体能力が上がり、ニュートラルネットワークの情報を見ることができる。お金のある人のほとんどはVOを装着している。
貧困だったピアもやっと息子に装着はさせたものの、皮肉にも「VO」は小惑星の接近により不具合が生じてしまう。
この小説は人間の倫理観のタブーをテーマにしている。圧倒的な迫力があり、衝撃的。「流」に続くすばらしい作品だった。


先週、その本の著者、古い友人でもある東山さんが店を訪ねてくれたので、「あのVOはよくぞ思いついたね。世界中が究極な便利求めて、最後は小惑星で不具合かぁ。」と話したところ、
「それならね、サバイバルファミリーもある意味似てるから観たら?電気やガスが全部ストップした家族の奮闘話。なかなかだったよ。」と彼。
それで、さっそくレイトショーに。

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うーん、とても面白い!
そうきましたか!小日向さん主演らしく、十分コミカルなエンターテイメントなのに、観た後はかなり考えさせられる映画だった。ある日突然、地球から電気が消えたという変わった設定。電気はおろか、電車、自動車、ガス、水道まで、電気を必要とするあらゆるものが、完全にストップする。廃墟寸前となった東京を、鹿児島の実家に向けて小日向家族が自転車で脱出するというお話。
エラそうなわりには家族を守れない父、魚もさばけなかった母、スマホ命だった娘、授業はすべて撮影してパソコン保管していた大学生の息子。最初はお互いに文句ばかりだが、生きぬいていこうとするサバイバル状態を通して、家族で向き合い団結していくのがワクワクする。

子供たちを連れて観に行ったほうがいい。オススメ。

「便利がかえって不便を生むのよ」というのは料理家の桧山先生の口癖。
とはいえ、ナサニエルの母がいうように、一度発明されたものは、もうないことのはならないのも事実。

パソコンやスマホのようなここ数年で当たり前になった便利な機器もなかったことにはならないし、台所道具で言うと、電子レンジ、冷蔵庫、フードプロセッサーなどもなかったことにはならない。半世紀前までは、レンジの代わりに蒸し、冷蔵庫の代わりに干物にし、フードプロセッサーの代わりにすり鉢だった。便利にはなったけれど、それが無くては生きられなくなった現代人を考えると恐ろしくもある。

「発明されたものはなかったことにはできない」世の中で、私たちが何を選択して、何をできるように、何を子供たちに伝えていくかは、発展よりも大きな大きな課題だと思った。責任は、私たちもあると思う。

追記:このblogを書き終えたあたりでお嬢の担任から電話があった。美術の時間に版画用のナイフで指をざっくり切ったのだと。まあね、小型ナイフやら使わせたことないからね〜。なんでもさせておくべきだなぁと、改めて。

by kitchenparadise | 2017-02-16 13:49 |

本日は、お日柄もよく

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「本日は、お日柄もよく」と面白いタイトルの本は、原田マハさんの小説。年末に「ソワニエ」の弓削編集長から勧められて読んでみたら、なるほどテンポがよく面白い本だった。

フツーのOLが、参列した披露宴で素晴らしいスピーチを聞き、選挙のスピーチライターに憧れて成長していくという話。心に残る感動のものがたりというより、青春奮闘モノに、自己啓発のような側面も持ち合わせている。

今日、西日本新聞の「春秋」(朝日新聞でいうところの天声人語)の欄は、この本の紹介から始まっていた。

「言葉は世界を変える力がある、と信じる見習いライターの奮闘が描かれている。(中略)国家があなたに何をしてくれるかでなく、あなたが国家のために何をできるか問いたまえ。ケネディ大統領の就任演説もライターが手掛けた。」
西日本新聞の春秋では、この後、安部首相の「訂正でんでん」の失態の話題につながる。


その失敗はいいとして...あのトランプ大統領の演説もスピーチライターがついていたのだろうかと疑問に思ってしまう。
「アメリカを偉大に、安全にする」というのが至極当然のことだけれど、「アメリカファースト。アメリカファースト」の繰り返しは、ちょっと恐ろしく聞こえた。
小池さんの「都民ファースト」と何が違うんだろうかとアメリカ帰りの友人に聞くと、
「都民は人、アメリカは国だよ」と分かりやすい答え。なるほど、納得だ。

いろいろ書きたいけど政治的なことなのでやめとこ。

マハさんの「本日も、お日柄がよく」を読んで、改めて思った。

心を打つのは上っ面じゃない。結局は人柄だ。そして伝えようとする熱意。
本はなかなか興味深いのでぜひどうぞ。
by kitchenparadise | 2017-01-27 18:15 |

「彼とごはん」と「日本の味」

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とてもすばらしい本が2冊でました!松田美智子先生の本です。
「日本の味」  (主婦と生活社)
「彼とごはん」  (世界文化社)

「日本の味」
家庭料理の基本的な味付けと、長く使える道具を紹介している本。松田美智子先生ならではの内容だと、うなずきながら読みました。すごくよいです!すばらしい。
いまの流行とか省略形とかじゃなく、かといって難しすぎるわけでもない。本物の作り方、本物の道具が学べる、本物ばかりの内容になっています。私たちのように我流でつくっている中堅主婦にも、これから料理を始める方にもぜひ手にとってもらいたい内容です。
松田先生らしいのが、煮物は土鍋で、炒め物は鉄で、おろしは竹やセラミックで、まな板は木で、蒸しは木の蒸篭でと、とにかく理にかなった道具ばかりなところ。
こんな本を娘にもたせたいと思いました。
待ってました!って感じです。

「彼とごはん」
松田先生が彼ごはんの本!?と最初は思ったんですが、パラパラとめくってみて、すぐに納得。
先生らしいです。
男子が好きな、ハンバーグ、から揚げ、カレー、エビフライなど、シンプルな料理がラインナップされていて、調味料や材料にこだわり、一番美味しいって言ってもらえるような理にかなった手順が丁寧に紹介されています。
みせかけの彼ごはんでなく、体のことを考え、心をこめた、愛情あふれる作り方なのです。
「日本の味」の内容と比べると、一品をサッとだせるようなメニューが多いのが、「彼とごはん」でしょう。

おススメです。ぜひ和食のバイブルに!
by kitchenparadise | 2016-12-10 15:18 |

私たちは本当の愛をまだ知らない

エーリッヒ・フロムは(1900-1980)後世に多大なる影響を及ぼしているドイツの社会学・哲学の研究者。
ナチスのファシズムを分析した「自由からの逃走」や、真の愛は技術であると説いた「愛するということ」などのベストセラーが有名だが、この9月にフロムを知る上で、最もわかりやすい本が出た。
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「フロム 100の言葉」 監修 鈴木晶(宝島社)


TSUTAYAに行くと、「モテる技術」「愛される笑顔の作り方」「愛されるメイク」「ズルイくらいに愛される」などなど、愛されるためのハウツーが平積みされている。
フロムがもしその平積みをみたら、ため息をつくのではないかと思う。

フロムは本当に愛についてこう考えている。(抜粋)

「たいていの人は、愛の問題を、愛するという問題、愛する能力の問題としてではなく、愛される問題としてとらえている」 

「人は、意識の上では愛されないことを恐れているが、本当は無意識の中で愛することを恐れている」

「一人の人を本当に愛するとは、すべての人を愛することであり、世界を愛し、生命を愛することである」

「子どもをかまいすぎるのは子供を愛しすぎているからではなく、子どもをぜんぜん愛することができず、それを償おうとしているのだ」

「成功、名誉、富、権力、これらの目標を達成する術を学ぶために、ほとんどすべてのエネルギーが費やされ、愛の技術を学ぶエネルギーが残っていない」
 


そして、これは愛のことを説いた究極の言葉だなと思ったのがこのセンテンス。
「愛とは、特定の人間に対する関係ではない。世界全体に対してどう関わるかを人が決定する態度、性格の方向性のことである」 

フロムの言葉は、どうですか。
私にとって、10年間といまとでは全く理解が違うように、きっとこの先10年後も新たな展開があるかもしれないと思う。

ぜひ手にとってみてほしい。フロムの「愛するということ」の新約は意外とわかりやすい。興味があればそちらもどうぞ。

by kitchenparadise | 2016-12-08 12:04 |

日本人の心に刺さる「聖なる言葉」

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立教大学社会学部教授の阿部珠理先生の著書「ともいきの思想」(小学館新書)は、自然と生きるアメリカ先住民の生活と、彼らが語り繋いできた「聖なる言葉」を紹介する本。

「今日は死ぬにはいい日だ」
「自然から離れると、人の心は固くなる」
「持つにふさわしいものは、自ずとやってくる」

「ともいき」というのは「共生」と書きます。自然との共生、人と人との共生を大切にする文化です。
アメリカ先住民の伝統には、自分でなく相手のことを考える「慮る(おもんばかる)」ことが根付いていると言います。
今の日本はエゴばかり。アメリカ先住民に共通した思想が、日本にもあったのでしょうが。
相手に対する奥深い慮りを軸にした文化が本当の文化であると先生は読者に投げかけます。

亡くなった姉は阿部先生と親交があり、いつもアメリカ先住民の伝統や思想の話を楽しそうに話していました。先住民たちの精神世界に姉のあこがれのようなものがあったようです。
先生には心温まるお見舞いのお言葉をかけていただきました。

5年の闘病で姉が亡くなった日、病院からの帰り道、母が言いました。
「お姉ちゃんのことだからきっと、今日は死ぬにはいい日だと言ってるね」と。
姉が尊敬する阿部先生のおかげです。

そんな阿部先生と、この夏、15年ぶりにお会いしました。
いい日でした!
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by kitchenparadise | 2016-08-22 13:00 |

まことに不都合な調理道具

NHKの朝の連続テレビ小説。今日はホットケーキ作りの手順を雑誌に掲載するというシーンだった。まだまだモノが出回っていない無い時代、しゃれた西洋料理を家で作るという習慣もない戦後の主婦に、まるで新しい希望を吹き込むようにどんどん雑誌は売れいった。
実際、当時の「暮らしの手帖」は、料理手順の分解写真、上手な掃除のやりかた、洋服の簡単な作り方など、ワクワクしながら家事をこなせる「未来型の雑誌」だったと思う。

「商品テスト」なるものも、暮らしの手帖の十八番で、ことあるごとにさまざまな新商品等の実験ををしては彼らなりの結果を発表してきた。

2003年2月号は驚いた。
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10ページの紙面を割いて実験をしたその商品は、当時最新型の「IHクッキングヒーター」。
10ページ目に実験結果として「まことに不都合な調理道具」と決定づけている。

これを読んだ時、すぐに雑誌全体をパラパラとみた。ちょうどIHがでたばかりで、大手電機メーカーがこぞって、「掃除が簡単で、部屋が暑くならず、揚げ物に最適」などと宣伝していた。そんな流れと全く逆を結論づける特集に、「暮らしの手帖のスポンサー的には大丈夫だったのだろうか」と、広告欄を探すためにパラパラとめくったわけである。

なるほど。この雑誌、広告無い!
と、その時初めて気が付いたわけである。広告に頼らない消費者目線の雑誌を貫こうとしているなと。

2003年のIHクッキングヒーターはまだまだ発展途上ではあったので、今の最新型とはかなり違う。にしても。世の中の流れをばっさり切った実験結果は、なんと潔いことかと感心した。


キッチンパラダイスも同様、どのような商品をテストするにしても広告料はいただかない。実験結果をもとに率直な意見を書きたいとは思っているが、なかなか難しい点がある。良いものは良いと言えるけれど、悪いものは悪いと言いにくい。勝手に気をつかっているだけなのだけれど。汗)

雑誌、テレビをはじめ、「広告」がひとつの答えになるこの時代。
「暮らしの手帖」という雑誌は稀有な雑誌だなと思う。貫いてほしい。



by Kitchen Paradise 田中 文
by kitchenparadise | 2016-08-05 12:45 |

とと姉ちゃんの本「暮らしの手帖」

とと姉ちゃん、見てますか?NHKの朝の連続テレビ小説。
たまーにみて、さらに昨日見ると、あ!唐沢寿明扮する花山伊佐次がでてる!このモデルは、この赤丸の方じゃないでしょうか。
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暮らしの手帖を創刊からひっぱってきた、敏腕編集者です。
これは、私がもってる暮らしの手帖7号。表紙です。
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趣味で暮らしの手帖のバッグナンバーを集めています。
この昭和25年の第7号には、こんな方々が記事を寄せています。
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すごいでしょー。あとがきがいいんです。とと姉ちゃん、つまりモデルとなった大橋さんのあとがきには胸を熱くするものがあります。(拡大してお読みください)
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戦後、ひとりで立ち上がろうとする女性のたくましさ、賢明さ、聡明さを感じる本です。
by kitchenparadise | 2016-07-12 08:30 |

ほめる技術

c0228646_15214231.pngさて、今日は褒め方についての面白い本を読んだので紹介します。
「正しいブスのほめ方」
タイトルがキャッチーで、ちょっと乱暴な感じはしますが、中身を見て見るとなかなか勉強になるのです。元ヤンキーにはこう褒める、不幸自慢の人にはこう褒める、忙しぶる人、料理上手などなど、こんな人にはこんなほめ方をしましょうよという、「おつきあい」の本です。
気にったのが、「ほめロジック」
・ウソはつかない。
・長所に気づかせてあげる
・相手の立場を考える
・逆転の視点

長所を認め、相手を気持ちよくさせるが、ウソはつかない。つまり、技術は人柄を伴なっていないといないといけませんよという内容と解釈しました。
例を出しますよー。

「健康オタク」の人には、「話を聞いているだけで健康になりそう」
「忙しぶる」人には、「いったいいつ寝てるんですか?」

なるほど。そういわれると、認められている気が、確かにするかもしれませんね。

「若いのにおっさんくさい」人には、「センスが大人っぽいですよね」
「若手成金」くんには、「全然電車が似合いませんよね」
「苦労話をする」人には、「映画になりそうな話ですね」

ギャクみたいでもありますが、これは相手のことを考えていう「ポイント」は外れてないような気がします。
相手に対して優しくなれる目を持つ、角度かな。大事ですよね。

私にも当てはまるものがありました。
「方向音痴」な人のは、「一緒に散歩したら楽しそう」

わー、絶対そういわれたらウレシイ!

「かまってちゃん」」には、「絶対褒められたら伸びるタイプですよね」

間違いなく、褒められて伸びるタイプです、私。

この本を本屋でみかけたら、最後の「もっと褒めフレーズ集」をご一読ください。さらに勉強になります。笑)
嘘はつかないこと、大事です。
by kitchenparadise | 2016-07-01 15:57 |

後悔しない生き方とは。「神秘」読了。

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白石一文さんの「神秘」(講談社文庫)上下を読んだ。2010年に「ほかならぬ人へ」で直木賞を取った福岡出身の作家で、5.6作は読んでいる。どれも面白いけれど、この作品は特に考えさせられた。

小説というのは、疑似恋愛してみたり、思想に同調したり、謎解きミステリーに没頭したり、あるいは生きにくさに共感したりとその楽しみ方はいろいろだけれど、この小説はどの要素もありながら、またどれとも違う。私にとっては嫌でもこれまでの自分を振り返らざるをえなくなった。
それは、作家も主人公も年齢が50代で、私自身その年齢に近くなってきたことと、あとがきから推測するに、作家の白石さんが父を癌でなくした経験が執筆への後押しになっていることが、私が姉を3年前になくした経験とかぶるからことからか。主人公の言葉には時に胸に迫るものがあった。

って、ここまで書いて、まったくあらすじを紹介してないですね、わたし。
以下、アマゾンのコピペで。

【内容紹介】
末期のすい臓がんで余命宣告を受けた53歳の出版社役員・菊池は、治療を放棄し、「病を癒す女」を探すため、神戸へ移り住む。
がんに侵されたのは、運命か必然か。未知の土地、これまでの生活とまるで異なる時間の流れに身を置き、菊池は体内にがんを生み出した「もう一人の自分」の声を聞く。
死に向かう人間の直感、思いがけない出会いの導きに翻弄されながら、偶然のひとつひとつが結びつき、必然へと姿を変えていく。やがて、彼の目の前に描き出される「神秘」の世界。その景色の中に求めていた答えを見つけ、男は新たな人生を歩み出す。渾身の最新長編小説。


《本作について》
すべてを失ってもなお、人は生きたいと願うのはなぜだろうか。この小説は、私たちにとって根源的なテーマを、「余命一年」の男の思考と行動を通して問う。著者はこれまで多くの作品で人と人の絆について描いてきたが、本作では家族、仕事、恋愛など社会的なつながりを断ち切った男が孤独になってようやく自分の人生と向き合い始める。
最先端の医療をもってしても未だ決定的な治療法がない、がんというミステリアスな病をどうとらえるかも本作の興味深いテーマのひとつとなっている。主人公は『奇跡的治癒とはなにか』という本を引き写ししながら、がんを克服する術を模索する。そこには自身もがんで家族を亡くした著者の解釈が反映されている。「がんを経験した人にこそ読んでほしい」と著者は言う。


アマゾンさん、ありがとう。勝手引用あしからず。

作品の冒頭は、アップルの創設者スティーブ・ジョブズの言葉と、それに抗う主人公の複雑な心境から始まる。下巻では、緩和ケアの患者さんが口にした「後悔」について考える場面もある。
自分に忠実に生きればよかった。あんなに一生懸命働かなくてもよかった。もっと自分の気持ちを表す勇気を持てばよかった、など。小説という形をとりながら、人生はいかに生きるべきか、非常に哲学的な問いかけを読者に提示している。

40代以降の男性には、ぜひ手に取っていただきたい。もちろん女性でも。


おしらせ:スイスダイヤモンドIHフライパンの15周年記念SALEが始まっています。
7/1からは店頭限定で、なみじゅうの3本セット赤白黒の販売も開始します。

明日土曜日は、7/30(土)に開催予定の池上真紀子先生のラボ講座のご案内を書きます。
by kitchenparadise | 2016-06-24 12:22 |


福岡の台所道具専門店「キッチンパラダイス」のオーナーAYAの日記。調理道具のテストや考察、お店のお知らせ、出会った方々や興味深い本などを毎日綴ります。ご連絡はキッチンパラダイスのHPからどうぞ。


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