カテゴリ:私、こう思う( 155 )

教育とは自分を好きになることを教えること

大人になってみんなが言い始めること。
「いい大学をでたからって、いい人生なわけじゃない。」

不思議だ。あんなに勉強しろ勉強しろと言われたり言ったりしてきたのに、そんなことを言いだしたりする。

それにもっと不思議なのは、そうはいいながらも私たち大人は子供には勉強をさせていい大学に入ったほうがいいと本音は思っている。

確かにそれはそうかもしれませんよ。一般的に良い大学を卒業すれば、安定収入への門戸が広くなるであろうことは想像がつくし、なりたい職業の幅は確かに広がる。

野球にずば抜けて才能があるとか、子どもの頃からスケートで成績を残したとかならまだしも、とりあえず上の大学を目指して努力することが良しとされる。

このところ確固たる目標を持てない学生が大半であるらしいから、半ばしかたなく手が届きそうな大学で名の知れたところを目指すことになるのも無理はない。うちのお嬢(高3)によると、学部さえ決まらない友人も多いらしいから、そういうことなんだろう。

日本の受験生は競争ばかりで大変だ。競争の先に大きな夢があればいいけれど。

ある小説にこんな一節があった。

「教育とは、相手を負かして自信をつけさせることでなく、自分を好きになることを教わること。自分が大事でたまらないとおもえるようになること。それが教育だよ。」

この言葉、我が意を得たりと思った。

受験でいい大学に入ることはできても、自分が大事でたまらないと思えるようになるのは難しい。自分の努力で解決できないからだ。

それには、何にもましてあなたが大事だと言ってくれる親や近親者がいてくれるか、そんな理想の大人が身近にいるか、好きなことを十分にできる状況にあるかなどなど、そんなことだろうと思う。

自分を本気で好きになれない場合、相手を負かしてところで人生はイバラの道だ。だって、努力ではどうにもならないこともあるから。勝ってばかりというわけにはいかない。


自分を好きであれば、どんな時でも、次の一歩は輝かしい。

教育は子供にうんぬんと教える前に、大人に課せられた課題だなぁ。






by kitchenparadise | 2017-11-14 10:30 | 私、こう思う

言葉の使い方

昨晩、仕事先の方や友人との夕食にお嬢が同席した。途中、お嬢だけが先に帰ることになり立ち上がった時、彼女が「そろそろおいとまします」とあいさつをしたので少し驚いた。
高校生が「おいとま」を使うとは、なかなかよろしいではないですか。
言葉が少し大人びているのは、別に私が教えたわけではなく、根っからの文学少女である所以だろうと思う。「厠にいってくる」とか「一目散に」など小さい頃から面白がって使っていたし。

それはそうと。先日、「女性の仕事セミナー」の講師をさせていただいいく機会があった。台所道具の講習なら慣れているが、女性のモチベーションをあげるための経験談をまとめるのは準備に時間がかかった。

モチベーションに関して女性と男性を区別する時代でもないが、まだまだ少し地方に行くと、仕事への向きあい方は男女で大きな違いはあるようだ。なので、女性らしいモチベーションとして、とくに女性らしい「言葉」の話をしてきた。

まだ若いころ、先輩が「不躾なお願いですが。」とお客様に話しているのを聞いて、なんて品のある言葉なんだろうと思った。当時は知っていても使えない言葉だったので、手帳に書いて、使うチャンスをうかがったものだった。笑)

ご婦人に道案内をしたら別れ際に「ご親切にありがとう」と言われたのもとてもうれしかった。「ありがとう。」だけでなく「ご親切に」がいい。

ひとことの言葉で気配りができる。反省や尊敬や感謝も、素直に伝わる。

それを理解していただくために、男性のへのほめ言葉を例にあげた。
「すごーい。」としかか言わない相手への誉め言葉を少し変えてみようと。

熱心に経済や政治について数字で表現する男性には「数字に強いね。」とか「論理的ね」「頭の回転が速いね」など少し具体的にほめるほうが嬉しいと思う。
おしゃべりな男性には「会社でも人気でしょう。」武勇伝には「経験が豊富ね。」でもいい。
おとなしい男性には「聞き上手ね。」
「すごーい」「えらーい」では芸がない。

メモを取る女性社員の方もいたから、この手の話は若い子にはウケがよかったよう。笑)
女性の私たちだって具体的にほめられると「お、わかってくれてるな。」と思ってうれしい。


言葉は少し勉強するしかない。簡単なことからでもいい。
雨の時には「お足元の悪い中ありがとうございます。」遠方からは「遠いところからありがとうございます。」
タイミングと状況に応じて的確に言葉を選べれば、仕事は楽しくなるし、会社に貢献もできる。社内でのコミュニケーションもうまくいく。

さきほどの「不躾」という言葉には「唐突で申し訳ない」というニュアンスがある。
「おいとま」にはへりくだる気持ちが伝わる。日本語はとても便利だ。

今日はこの辺で、ごめんください。笑)



by kitchenparadise | 2017-10-27 20:22 | 私、こう思う

「子育ては仕事でなく本能だ」新聞より

先日、某新聞の読者欄に「子育ての価値をゼロ円なんて!」という投書が掲載された。子育ての大変さ、その価値を認めてほしいという内容。
すると続いて「子育ては仕事でなく本能だ!」という反論の投書。

この手の問題は様々なメディアで特集される。生命保険会社あたりが「あなたの子育て・家事の時給をいくらに換算したいですか?」といった不毛な質問をしては、1000円じゃ足りないの1500円だのとどうにもならない多数決を発表し、さらにそれが夫婦の会話にのぼったりする。

妻は家族のために家事や育児に専念したのに、男性には理解されていないという憤りがこのような「お金に換算」という発想を呼ぶのだろう。確かに家事・育児労働を軽んじる風潮があるというのがいまだに否めない。本当にやるせない。

にしても。
「家事や子育てをお金に換算したら」という発想転換は避けてほしいとも思う。
母がそんな風に思っていることを知ったら、子供はどう思うだろうと悲しくなる。
私は子供の頃から親に「あなたたちには何をしても惜しくない」と言われてきたし、父は母に対しても「お母さんが幸せになるなら全財産をかけていい。」と常々聞かされてきた。1時間いくらの換算なんて聞くだけで、居心地の悪さを覚える。冗談でも子供には言いたくない。

「子育ては仕事でなく本能だ」を投稿した58歳の女性はこう書いている。

***********************************************
「そもそも子育てをお金で換算することに違和感を感じます。出産、子育ては仕事ではなく本能だと思うからです。
私も出産前は、喜びや期待より不安や心配のほうが大きかったです。しかし実際に母親になると、その幸福感はいままでに味わったことのないほどのものでした。子供たちのことを世界で一番かわいいと心から想い、何でもやってやろう、できるんだと思う力がむくむくと沸いてきました。(中略)もちろん、社会的に支えが不可欠であることは言うまでもありません。
***********************************************

ところで、先週、4月に結婚したばかりだという若くておきれいな女性のお客様が来店された。桧山タミ先生の著書「いのち愛しむ、人生キッチン」を読み、9月の桧山先生の西部ガス講習には最前列でご覧になったそうだ。

「結婚してしばらくして、仕事で疲れていて十分な料理をすることができないと、なぜ私ばかりが料理しなくてはいけないかしらと窮屈に感じていたのです。桧山先生にお会いして考えが180度変わりました。大切な人と結婚して、私が彼の健康を守れる権利をいただいたんだと思えたんです。彼の体のことを第一に考えて台所に立ちたいと思います。勉強します。」すり鉢を買ってお帰りになった。

桧山先生にそのことをお伝えすると、「料理の時間じゃなくて。その思いだけよね。」とおっしゃった。

日々の子育てに料理にと、どのような思いを積み重ねていくのかは、人としてどうなりたいかそのもの。
桧山先生の言葉をかみしめるたびに、そう思う。



by kitchenparadise | 2017-10-10 18:35 | 私、こう思う

ちらし寿司で五輪はどう?



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いま、海外では和食がちょっとしたブームになっているらしい。
外国人にウケる日本の料理の1位は鮨、2位は焼肉、3位はラーメン、4位が天ぷらと、いかにもな感じだ。海外の主要都市のみならず、いまはアジアの小さな町にまで日本料理が進出しているという。

しかし考えてみると、「鮨」は、この場合「にぎり」のことで、家庭では作らない。
2位は焼肉でそもそも日本古来のものではない。
3位のラーメンは日本で輸入して日本風になったものではあるが、これはファーストフードの部類。
4位の天ぷらは、もっは海外をまねたもので高級品。日本料理ではあるが、油が高級である昔は、家庭料理ではなかった。

せっかく2020年に五輪で海外の方々を迎えるのなら、本当の日本料理、それも家庭料理で迎え入れたらどうだろうか。
五輪を観にきた人たち、選手たちに「これぞ日本の家庭料理」という料理、しかも「ちょっとしたハレの日に作る家庭料理」と自信をもって出せる料理、しかも全国共通でありながら、その地方地方、家庭家庭なりの特色がでる料理.....。

誰からも頼まれていないのに勝手に考えてみた。
これしかない!

「ちらし寿司だ!」

ググってみた。

ちらし寿司(散らしずし)は、酢飯に多種類の具材を合わせて作る寿司の一種である。 「ちらし寿司」の語源は、寿司飯の中、あるいは上に様々な具を「散らす」という意味で、単に「ちらし」と呼ばれる事もある。(ウェキペディア)


わたしの母は「大村寿司」というのをよく作ってくれた。大村寿司は大村地方に伝わる押し寿司。具は普通のちらしと変わらないけれど、四角い。
上は必ず錦糸卵だ。
調べてみると、文明12年のこと。領主の帰還を喜んだ領民らが歓迎のために食事を振舞おうとしたが食器が足らず、浅い木箱(もろぶた)に炊きたての米飯を広げて魚の切り身や野菜のみじん切りなどを乗せ、さらにそれを挟むように飯や具を乗せた押し寿司を作り、兵が脇差しでこれを四角に切って食べたのが現在の大村寿司の発祥らしい。

全国どこにでもあるのに、物語があるのがおもしろい。

関東のちらし寿司は、握り寿司の種として用いる生魚などを寿司飯の上に並べた寿司のこと。基本的ににぎりと同じではあるけれど、一度に全部食べれて豪華だ。

岡山に古くから伝わるバラ寿司は、なんと炊き込みご飯に酢をまぜて作るらしい。順序が逆ではないか!瀬戸内の魚がのるのだろう。


日本全国津々浦々、ちらし寿司が家庭家庭で違うというのがとてもおもしろいのではないかと思う。これぞハレの日の家庭料理。お祝い事のたびにお母さんが作ってくれたほんとの日本の味。


本当は手作りのすし酢が一番だろうが、ミツカン酢さんやタマノイ酢さんが大々的にすし酢キャンペーンをうつのもいいでしょう。
すし桶をもたないご家庭も、この機会にキチパラですし桶をかっていただき、いまのうちに練習を始めてはどうだろう。
わが家だけのちらし寿司。

いいと思います!!







by kitchenparadise | 2017-10-07 18:18 | 私、こう思う

便利好きで、便利がイヤな日本人

最近「便利」について、二極化とも思える取り上げ方に笑ってしまうこと多い。

新聞に、便利なアイテムを「これはすごい!」と紹介する一方で、「便利すぎる社会」という記事が載る。
テレビやラジオで時短・簡単を紹介した後に、桧山先生の「手間をかける」を特集して「やはり大切なことですね。」とコメントする。

いったいどっちなんだー!?

つまり「便利がいいけど、便利すぎて失うものがあるとすると不安」という気づき始めた時代なのです。

それがわかる記事が、先日の朝日新聞に特集されていました。

「便利すぎる?社会」のアンケート。

「いま以上に便利さを享受するのと引き換えに、あなた自身が失うものはあるおもいますか?」

答えは64%が「おおいにある」「少しはある」が28%。

つまり、便利すぎることに不安を覚えている人が92%もいるということなのです。

とはいえ、この解答、新聞の読者が40代以上、50代、60代が多いことも考慮しないといけませんが。

携帯の登場で電話番号を記憶する必要がなくなり、スマホが登場して漢字を書けなくなりました。
クイックルワイパーがでて雑巾がけをしなくなり運動力が減ったのはまだしも、いまや掃除機だって自動です。
料理はレシピが簡単に検索でき、我家の味はクッ●パッド料理。
主食のお米は、鍋では炊けない平成のママたち。
私もそれにもれず便利ライフを謳歌する一員。

7月に桧山タミ先生の本「いのち愛しむ、人生キッチン」の制作に携わって以来、桧山先生のお宅に毎週通っています。
先生がなぜお元気なのか知りたいと、いろんな方が取材にこられます。食べ物がいい、乾布摩擦がいい、考え方が前向き、いろんな理由があるのはあるのですが、究極は、便利を享受していないということにつきるのではないかと思います。

便利すぎない桧山先生の毎日では、とにかく体を動かさなくてはいけません。
目覚ましなしで自然の中で起き、土鍋でご飯をたき、力をいれてすり鉢ですり、雑巾がけをして、手で洗濯をされます。

便利すぎない桧山先生は、いま何が必要か、どんな状況か、この世がこれからどうなっていくかまで見通せます。

便利すぎない桧山先生は、今日も明日も身体を動かしてるからお元気。


先日親戚の家に行ったら、1歳の子がスマホを操っていました。子供はすぐになんでも吸収していきます。
このスマホの操作の代わりに、煮干しの頭をとる方法でも覚えば、一生困らない「生きる術」になるんじゃないかなぁと。

台所道具屋の私からの提案は、「すし桶は濡らしてから使う」「木の製品は風で乾かす」そんな簡単なことを、たった1回でも小学生の子供さんに見せてあげたらいいなぁと思うのです。毎日のスマホのたった1回だけ、道具の使い方にしていただけると嬉しいです。






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by kitchenparadise | 2017-09-20 07:30 | 私、こう思う

応用力か想像力か、領収書の雑感

キチパラは「ホームコマース(有)」という会社名で運営しており、領収を書いてもらうときも「ホームコマースでお願いします」と伝えている。にもかかわらず、間違えて書いている人がとても多い。

多いのは、
「ホームコマツ」

おそらくコマースという英語になじみがないのであろう。月に1、2度は間違えられる。ホームセンターと思われているらしい。
ちなみに「コマース」は商取引という意味。よく聞く「eコマース」は、電子商取引のことだけれど、つまりはネット通販のことをさすことが多い。もともとキッチンパラダイスは最初の1年はネットだけで運営していたのでこの会社名にした。

次に、
「ホームコマーズ」「ホームコマンズ」

たいていは、「あの、濁りません」と言って訂正してもらうけれど、めんどくさいのでそのままいただくことが多い。あまりに多いので、私が知らない単語があるのかと以前調べてみたら、「コマーズ」も「コマンズ」もDanzig産の輸入繁殖牝馬だった。コマースという単語よりコマーズが有名だとは思わないけれど、ひょっとして競馬ファンかな。いや、、、どうだろう。知らない単語を書いたとしたら、意外と勇気のある店員さんだと思う。

あと、
「ホウムコマース」

はて、ホームという単語は一般的なのに、どうしてわざわざ「ホウム」と書いたのか。外人さんではない。想像力があるのか。

そして、ついに先日いただいた領収書は
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「オウムコマンス!」

これで税務署が通るのだろうかと不安になった。パン屋さん。書いたのは30代の女性。オウムを買っているとか?まさかホームという英語を知らないわけじゃないと思う。ダブル聞き間違い?

それにしても、聞き返さず聞いたことのない単語を書く勇気たるや.....。知らない単語が多いとこうなるのか、それともこれは応用力、あるいは想像力があるというのか。

もしかしたら決定的に私の発音がわるいのかと思い、友人に聞いてもらった。
私「ホームコマース、ホームコマース。」もう一度早口で「ほーむこまーす。どう?なんて聞こえる?」

友人「ホームコマースにしか聞こえんけど。」
私「そう......」


それともうひとつ。私の顔を知っている方は、あらかじめ宛名を「キッチンパラダイス」と書いてくださるお店も多い。
「キッチンパラダイスでよかったですね?」と。
大変準備がいい。
行きつけのお店で、過去3回は「ホームコマースで。」とお願いしているけれど、もう訂正しないことにしている。


by kitchenparadise | 2017-08-24 08:47 | 私、こう思う

そろそろ既成観念を手放そう

私は「自由」とモットーにして生きている。身勝手な自由でなく、心の自由。
高3のお嬢にも常々「自由と責任は表裏一体」などと、いかにもなことを言って自由を与えている(つもりである)。
何時に寝ようが、遅刻しようが、勉強しまいが、どんな部活に入ろうが、自分のお金をどう使おうが。聞かれたらアドバイスはするが、基本的には自由にさせてきた。その変わり弱音を吐かず、責任をとれるようにと。まぁ、はなっから親のアドバイスなんて聞いてない。

最悪の成績のまま、2つの部活に入ると報告してきた時は、さすがに止めるべきかとも思ったけれど、「好きになさい。やるべきことは責任とるように」でとどまった。先日それらの部活生活も終わったが、よくやり遂げたと思う。

最近お嬢が進学先を選ぶにあたり、困ったことを言ってきた。

ひとつは家を離れるということ。「お風呂とトイレが無いところに住んでも行きたい大学がある」というから、なんとかしてあげなければしかたないというのは親心。これは仕方ない。
困ったことは、彼女の第一希望の大学が、第二希望より偏差値がうんと低いということ。希望の順番がおかしい。
学びたい授業があり、習いたい先生がいるのがこの2つの大学で、どちらも捨てがたいが、基本的には第一希望が受かれば他は受けないという。

ちょっと待てと。
世の既成概念では、大学というのは偏差値がより高い方が第一希望ではないのかと。学部が違うとか、そんなに偏差値が変わらないならまだしも、偏差値からみると何十点も違うほうが第一希望とは....。

自由がモットーと言い続けてきた私が、「つぶしが効かないよ」というのも信条に反するけど、つい言ってしまった。

もちろんお嬢は「それはわかってる」という。そりゃそう言うでしょう。
「自由と責任」をふりかざしながら、私自身、実は既成概念で凝り固まっているかもしれない。

師匠の桧山タミ先生にお伺いしてみた。

「本人が行きたいところに行かないとね。習いたい先生で大学を選ぶのが一番。成績がいい大学に行けば幸せなら、日本はもっと豊かになっとるからね。」

先生のように少しづつ既成概念から解き放たれたいなぁと思う。


8/7(月)18:00は桧山タミ先生の出版記念トークショー。楽しみで




by kitchenparadise | 2017-08-05 12:52 | 私、こう思う

105歳 日野原先生のことば

日野原先生が105歳でお亡くなりになった。先生の本は、飽きることなく何度も何度も読ませていただいた。医師としての実績はもとより、その裏付けをもとに人としての生き方を示し、実践した功績はすばらしい。先生の言葉ひとことひとことに大変感銘を受けた。

「歳をとることは楽しい冒険である」という日野原先生の言葉は、私の師匠である料理家の桧山タミ先生(91)にもつながる。桧山先生も、今週発売(7/28)の「いのち愛しむ、人生キッチン」の著書の中で「好奇心やおもろがりの精神は歳を重ねても枯れない」とおっしゃっている。

50歳を目前にした私たちのほうが、もはや人生に疲れを感じ始めている。

日野原先生は、人生最後に向き合った「死」についても、「死とは生き方の最後の挑戦」という言葉を残されている。
今年3月に自ら「脱水症状だと思う」と訴え入院され、その後は延命治療を望まずに退院された。人口呼吸器や胃ろうも拒まれたそうである。穏やかに生を閉じられたそうだ。

講演や著書で残された言葉通り、生涯現役にこだわり、望ましい生き方、人生の終わり方を実践された。多くのひとたちに、とてつもない勇気を与えてくださった。先生のいう「生涯現役」というのは「仕事そのもの」でなく、生きることに向き合う、挑戦するという意味ではなかったかと思う。その生き方を「生涯現役」といっていいと思う。

どうすればこんな風に歳を重ねることができるだろうか。そればわかるまでは死ねないなぁと思う。




今年は桧山タミ先生の著書の編集に携わり、半年を送ってきた。
ようやく、今週の7/28(金)に発売日をむかえる。

私がこのような本を作るお手伝いをしようと思ったのは、桧山先生に憧れているのはもちろんのこと、日野原先生の本を読むにつけ、未知の世界のすばらしい体験者のことを知りたいと思ったからだと振り返って思う。生きる先に希望と勇気を示してくださる日野原先生ように、強く、優しく、謙虚で、穏やかな方々のことばを糧にして生きていきたいと考えたからである。医師としての日野原先生、料理家として母としての桧山先生、その生き方は、多くの人たちのバイブルになると思う。

日野原先生のご冥福を心からお祈りします。

by kitchenparadise | 2017-07-24 18:38 | 私、こう思う

加減を知るということ

7月28日に文藝春秋より発売の桧山タミ先生の本、
「いのち愛しむ、人生キッチン」は、
予約がとても好調のようで、大きな告知が始まっていないのにもかかわらず、いくつかのカテゴリー別ランキングで1位をいただいています。さっそくご予約いただいた方々、ありがとうございます。

文藝春秋のHPで紹介されていています。(ネット書店にも飛べます。)

この本は、子どものことや夫婦のことで悩んだ時、年を重ねても健やかに生きる術を知りたい時、自然と食と身体の大切さに気が付き始めた時、そんな時に「世の中のほんとう」を知り、豊かに生きるバイブルにしていただきたい本です。

ぜひ、立ち止まって悩んでいる身近な大切な方々にもお知らせください。きっと「がんらなくていいわよ」という先生の言葉が優しく背中を撫でてくれると思います。

桧山タミ先生がなぜ92歳まで、こんなにも楽しく、現役で生き生きと、外に出なくても多くの人に囲まれて豊かに過ごしておられるのか、その生き方からきっと多くの学びがあると思います。

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「いのち愛しむ、人生キッチン」の本の中で、五感を使うことの大切さを、先生はたびたび綴っています。

「手に勝る道具なし」という箇所です。

(また発表ですが、本文より)

「手で食材に触れて鮮度を見極めたり、手に持って重さを計ったり・・・・。せっせと手を働かせて、からだで覚えた積み重ねの感覚は、何年経っても忘れません。無人島に行っても何もなくても、このふたつの手という道具があれば、なんとか生きていけるって、のんきにつぶやけますよ。」

本の中の約20のレシピを仕上げるにあたって、先生と何度も書き直しました。それは、調味料の加減、火加減は文字には言い表せないと桧山先生が強くおっしゃたからです。どんな塩を使うかで小さじ1かそれ以下か、または小さじ2になるのか全く違うのよと、先生は言われます。火加減でも美味しく炊けるには自分の目で見ることが大切だとおっしゃいます。

「加減を知る」、そしてその加減をずっと手放さないということが、先生がいつまでもお元気で長生きの秘訣だと思います。


余談ですが、昨日6/28の天声人語はカナダの氷上で猟をするイヌイットの話でした。イヌイットたちは星や風、海流などの知識をもとに自在に移動してきましたが、21世紀になって人工衛星を使ったGPSに取って代わってから、深刻な事故を引き起こすようになったと。藤井4段のお祝いムードと将棋ソフトで練習したということから派生した話ではありましたが、なるほど便利なものがある世の中は、それをどう生かすかも、加減を知ることなのだなと思った記事でした。


先生の本、「いのち愛しむ、人生キッチン~92歳の現役料理家・タミ先生が見つけた幸福術~」はアマゾンでも買えます。

キチパラでもそのうち買えますが(笑)、人気のあまり初版がなくなると大変なので、ネット予約でも結構です!
アマゾンならこちらです。



by kitchenparadise | 2017-06-29 13:00 | 私、こう思う

仕事が忙しくても料理が楽しい理由

白石一文さんの本「彼が通る不思議なコースを私も」に台所恐怖症(台所症候群)の母親がでてきます。
台所恐怖症とは、食事の支度をしようとするとめまいやむかつきがでて包丁が握れないというこころの病。
料理を作らねばならない、子どもを育てなくてはいけないという過大なプレッシャーから逃れられず、食事を作るのがむなしい、怖いという心理状態に陥る病気らしいです。全くわからないでもないです。そこまでなくても、キチパラにこられる方には、「手を抜くことが悪いことに感じる」「結局、デパチカやコンビニになってしまい落ち込む」というご相談も多いのです。

わたしは娘が0歳で会社を立ち上げ、1歳5か月でお店を始めました。きっと周りからみたら子供を育てながらお店も持ちたいなんて、なんと身勝手だと思われたに違いありません。ですが、祖母もずっと仕事しながら片親で4人の子を育てていたし、母も働きながらさっさと料理を作って大勢の人をもてなすような人だったので、仕事をするのが当然だと思っていたのです。

しかしそんな両立がうまくいくのは、昭和の時代や田舎に住んだりして大家族で子供を育てていた頃の話。夫婦と子供だけの家庭ではそうはうまく運びません。父は仕事のことしか考えず家事をしなかったからか、私も夫に料理を頼む考えが浮かばなかったので、結局自分にのしかかります。当時の私はプレッシャーというより、「もっとちゃんと料理をしたいのにうまく時間がとれない」という自己嫌悪や焦りのような感情が入り混じっていました。

たまに料理を習いにいっても、結局は習った手間のかかる料理は作る時間を持てず、冷蔵庫に貼ったレシピを見るたびにため息をついたものです。「学校から帰ったら母がシュークリームを焼いてくれてけど、私にはそんな時間なくて娘が可哀そうだなあ」「買ってきた餃子を焼くだけなのは、今週3回目だなぁ」なんていう申し訳なさにとらわれたものでした。

そんな時、料理家の桧山タミ先生に言われたのが「おやつにおにぎりで十分やない?」という言葉。
「そのかわり美味しい美味しいおにぎりを作って置いておいたら。おにぎりなら1分で作れるやないの。」
お嬢が好きなパンや、どこぞの有名店のケーキを食べて喜ぶのをみて安心していた私は、愛情のおきどころをズバリ指摘された気がしました。大事なのは、お嬢の健康を考えながら空腹と満たしてあげること。これ以外のことにはとらわれてはいけないと、考えを変えました。

それから、私の小さな目標は「短い時間で家族の体に良いものを少しだけ作る」こと。
見せかけの豪勢な食事や品数にこだわるのは止めにしました。

例えば、八宝菜を作るつもりでできない時は、木の蒸し器でただ蒸すだけに変更。美味しい豚なので間違いなく美味しいはずです。
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出汁をとっておいて、鶏肉をミンチにしておけば、野菜とともに一人分の小さい土鍋で温めるだけの鍋が。
小鍋はとても便利で、いつまでも温かく食べられます。
帰宅して出来上がるまで10分。たくさん野菜をいれれば栄養も満点です。

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5分しかない時は、ソーメンを茹でて、キャベツとにんじんの蒸し。千切り器もスグレモノを使うとあっという間です。
無水鍋なら大匙2、3倍の水を沸かすだけだし、あらかじめ蒸した鶏肉や豚肉があれば豪華なサラダになります。

毎日作るおにぎりも、だんだん美味しくなりました。塩にこだわり、米にこだわり、海苔もいいのを見つけました。
そして道具屋という職業を生かし、一番美味しくできる土鍋をいろいろ試しました。
私が道具のテストを始めたのもこのころです。


ハンバーグやお肉も、フライパンによって調理にかかる時間が全く違うこと、火の通りやうまみの残り具合も違うことがわかりました。

お店を経営していると寝る暇もないほど仕事に追われる時もありましたが、プレッシャーや自己嫌悪に陥ることなく料理が続けられ、しかもだんだん楽しくなっていったのは、道具や素材の知識が増えて、簡単に美味しくできるコツがわかったからだと思っています。

それは、大嫌いだった英語が好きになった経験にも似ています。偶然好きな先生に出会い、その先生の影響から自ら進んで英語を勉強するようになり、成績も上がり、さらに英語が大好きになっていた高校生の頃のことです。大学生の頃のは日常会話を英語にして遊ぶほどになりました。(笑)


そうなんです。
思いがあれば、たとえ時間がなくても大丈夫。料理は、道具、素材、レシピなど、知れば知るほど楽しく簡単になってくるのです。誰からか褒めてもらおうなんて思いません。お嬢が大きくなった時に、「時間がなかったママだけど、心はこもってたんだよ」というメッセージが食卓の記憶ともにゆっくり伝わっていればいいなあと思います。







by kitchenparadise | 2017-06-02 12:42 | 私、こう思う


福岡の台所道具専門店「キッチンパラダイス」のオーナーAYAの日記。調理道具の実験や考察、お店のお知らせ、そのほか個人的な日常も毎日綴ります。ご連絡はキッチンパラダイスのHPからどうぞ。


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