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アルミの行平鍋のホント

アルミといえば行平鍋。(雪平とも書く)軽くて熱伝導が良く、沸騰するのが早く、なんといっても価格が安い。安い上に、柔らかい素材で、製造も簡単なこともあり、戦後、プロの厨房にも一般家庭にも一気に広まった。
とても便利だが、使う上で知っておかなくてはいけない点も多い。

まず、酸にもアルカリにも弱いということ。

アルミ鍋を使っている人には、黒ずんだり、鍋に白いブツブツができた経験のある人もいるだろう。

単なる水道水でも繰り返し沸騰を繰り返すうちに酸性になり、鍋を白く腐食させるし、水のミネラル分と複雑に反応すると黒ずむこともある。
酸性、アルカリ性の食材中でも特にその度合が強いものには反応する。酢そのものは強酸性だし、こんにやくは強アルカリ性なのでアルミは変質する。

その昔、洗剤とお湯で行平鍋を洗っていたら、さらに汚れがひどくなっていった。その原因がアルカリ洗剤だっと今ならわかる。重曹などはアルカリ性なので、行平に入れて煮ようもんなら、さらに汚れていくはずだ。
洗剤は中性洗剤で洗うしかない。

酸性がダメというなら、酢を煮たてるだけじゃなく、酒、米、バター、卵もダメか?
そう。基本的には得意ではない。

アルカリがダメというなら、果物のジャム、お茶を沸かす、コーヒーもダメ?
その通り。基本的には全く得意じゃない。(ちなみにお茶は酸性の水かアルカリの水かで違うらしい)

つぎに、保温性が悪いこと。

味噌汁を温めるだけなら良いが、大根やイモ。肉などには、鉄やステンレスと比べると火が通りにくい。
ジャガイモなどを薄い行平鍋で煮ると、煮くずれを起こしやすくなるのも、この保温性、つまり温度が一定にならないことにある。肉じゃがを温め直す時にすぐにジャガイモが崩れるには、料理の腕のせいではなく鍋のせいにしていいかもしれない。

そのほかにも磁性がないのでIHで使えないとか、柔らかいのですぐにへこんだり傷ついたりするとか。

もうひとつのことは、身体への影響。

アルミニウムの摂取が身体にどう関わっているか。
WHOでは健康被害とアルミは無関係であると発表はしているものの、もともとは、アルツハイマー病患者の脳にアルミニウムが蓄積していたこと、飲料水中のアルミニウム濃度が高い地域においてアルツハイマー病発症率が高かったこと、透析痴呆の患者の脳のアルミニウム含量が高かったことなどから、その研究がなされていた。
いやいまさらそれは解決済みでしょ、という専門家もいるかもしれない。それに「空気中にもアルミはあるし、水にも含まれているし、それならだれでもアルミが原因になるよ」という人もいるだろう。

一般的には、「通常、毎日摂取するアルミの99%は、体外に排出される」とあるが、人の体は通常でない場合もある。私は、姉を始め腎臓系を患った友人が多く、彼女たちは自分たちの感覚からアルミの鍋を止めている。鍋だけでなく、食品もアルミは取らないようにしているらしい。
関連のある病気を患っている方や、予備軍の方とっては、使い方を間違えたアルミ鍋は、体に優しい鍋ではないのではないかと疑っている。逆に言うと、使い方を知っていれば問題ないともいえる。

今日は、アルミは使い方を間違えると、変色したり溶けたりしますよということで。



by Kitchen Paradise 田中 文
by kitchenparadise | 2016-02-25 12:12 | 道具:フライパンや鍋

「ありがとう。すべてはうまくいっている。」

姉が久留米にある小さなFMラジオ局に出演したのは10年ほど前だったか。
地元で活躍しているの人の半生を1週間、5回にわたって紹介するという番組だった。
姉は子供を育てながら、小さい設計事務所を切り盛りしていた。他県からもいろいろとお呼びがかかり、心地よい家を建てるための講習会なども行っていて、自然派の人や地場や風の流れなどを大切にする人からは意外と人気のある設計士だったようだ。CDにダビングしたラジオをあとになって聞いたが、そのこだわりがなかなかおもしろかった。しゃべりは下手なものの、一生懸命家づくりの面白さを話すのがとても姉らしく、オタクぶりを発揮していた。

その番組は5日にわけて、それぞれ15分づつ「つづき」が放送されるのだが、その冒頭で毎回流れるのが、出演者の好きな言葉。
「こんにちは。私の好きな言葉は、ありがとう。すべてはうまく行っている。」
このあと、その番組のテーマ曲がかかって番組が始まるという流れだった。

姉の好きな言葉は、
「ありがとう。すべてはうまくいっている。」

このラジオから3年ほどして、難病のため入院した姉だが、
入院しても毎日毎日、常にまわりに「ありがとう」とお礼をいいつづけた。
私が訪問すると「ありがとう。」
手が動かない姉に代わって食事を食べさせると「ありがとう。」
看護婦さんがエアコンの温度を下げに来ると「ありがとう。」
声に出せなくなってからは、頭を下げていた。
そして、文字が書ける最後まで「私はうまくいっている」と書いた。

47歳という若さで二人の子供を残して逝ってしまった姉が、本当はどう思っていたかわからない。
強い人だったわけじゃない。
今の現状を受け止め、感謝とともに生きよう、生きていきたいと思っていたのだろう。


「ありがとう。すべてはうまくいっている。」
今でも姉が私に常に話しかける、難しくて、温かい言葉だ。


今日は姉が生きていたら50歳の誕生日。生きているときには「先週誕生日やったね。」というくらい、アバウトな関係だったが、半世紀なのでちょっと今から実家にでも帰ってこようと思う。

by Kitchen Paradise 田中 文
by kitchenparadise | 2016-02-24 17:31 | 本と言葉

子供に伝えておくこと。

二カ月に一度、お店で砥石講座をやっている。参加者は30代から50代の方々が多い。1時間半の講習である程度砥げるようになる。習った後ですぐに家で研いでみるのが覚えるコツのようだ。私より若い年代で包丁をきちんと砥げる人はおそらく1割もいない。かくいう私も我流で適当に研いでいて、きちんと砥げるようになったのはここ5年である。
ところが、お嬢が14歳の頃習わせところすぐに砥げるようになった。この子はもう一生包丁研ぎで困ることはないんだなと思った。

うちの高校生のお嬢は、鍋でご飯は炊けるし、すり鉢をあたるのもうまい。
炒め物や煮物の味付けも自分で味を見ながら調整できる。料理に関しては見て覚えてきたようだが、先日、私がいない間に彼女が冬の制服を洗濯機で洗っていたのを見て驚いた。もちろん縮みまくっていた。
当たり前なので、そんなこと教えないでもわかると思っていた。
「え、夏の制服は洗うやん?」と言われ、がっくり。16歳になっても、私が教えていない生活の基本は知らないのだ。

また、先日は友人が嘆いていた。娘に送った成人式の振袖が、ダンボールの中でぐるぐるに丸まって送り返されてきたと。着物のたたみ方なんて教えてなかったからと肩を落としていた。お嬢さんいわく、「you tubeで見ればわかるんだけどね。」と言っていたという。わかっても、やらなかったら同じだねと友人。
着物を自分で着ることができなくても、女の子なら自分が脱いだ着物くらいたためるにこしたことはない。
おそらく若いうちなら、こんなことも数十分で覚えるはずだ。

考えてみると、あと数年も経てば家を離れるかもしれないお嬢に教えていないことがたくさんある。
焦る私はたびたびお嬢に声をかける。
「ほらみてみて。木のまな板は使う前に濡らすよ。」「ハイハイ。」
「中華鍋はガスコンロで必ず水分を飛ばして片づけるよ。」「ハイハイ。」
「ご飯は左、お汁は右。」「すし桶は一度濡らして。」「ハイハイハイ。」

今頃になって、もっと早い時期に教えておくべきだったと改めて思う。

映画「はなちゃんのみそ汁」では、ガンを患った母、千恵さんが、まだ幼い娘に味噌汁の作り方を教える。この「はなちゃんのみそ汁」は事実にもとづいたお話で、今ははなちゃんは中学生。福岡に住んでいる。お父さんは新聞記者の傍ら、講演活動をしたり、エッセイを書いたり、「自分で作って食べること」、「食」の大切さを伝えている。
はなちゃんはそんな忙しいお父さんの帰りを、丁寧にご飯を作って待っている。千恵さんが教えたことがはなちゃんの生活の軸になっている。はなちゃんの生きる強さにもなっているといってもいい。賢く、頼もしい女性になるの違いない。

たまにゲームの手を止めて、テレビをちょっと消してみてはいかが。
ご飯、味噌汁の作り方、すりばちの摺り方、すし桶の酢飯をあおぐだけでもいい。生活の基本を子供たちに伝えませんか。そんな難しいことじゃなくていいし。親の近くにいる時間は意外と短い。
by Kitchen Paradise 田中 文
by kitchenparadise | 2016-02-23 12:42 | 私、こう思う

フッソ加工のフライパン、焼き比べました

同じフッソ加工でも、500円のものから2万円くらいするものまで価格の幅がとても広い。なぜにそんなに高いの?というフッソ加工フライパンも多い。
フッソ加工はどのみち最後は劣化する。劣化するなら、安くていいじゃないかというかもしれないが、そこはちょっと違う。いいフライパンには海外の*厳しい安全基準をクリアしたものが多いし、コーティングの耐久性が抜群にいいし、そして何より、火の通りと蓄熱性が素晴らしい。この「火の通り」と「蓄熱性」が、美味しさや使いやすさに繋がってくる。(*今はフッソ加工は欧米で規制がある)
仮に条件を満たし1万以上するような高級なフッソ加工のフライパンをプレミアムフライパンと呼ぶ。
このプレミアムフライパンのひとつ、スイスダイヤモンドという1万超するフライパンを使った実験をしてみた。
まずはパンケーキ。
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左は2500円のフライパン。そんなに悪いフライパンではない。温度変化が激しいので、焦げないように気をつけて焼いたが、しっかり膨らませようとすると、最初はちょっと強火にしなくてはいけないからちょっと焦げる。右はスイスダイヤモンド。一度も火加減の調節をせずに、きれいに焼ける。ふくらみもいい。
プレミアムフライパンは、微妙な温度調節が不要で、めったなことでは焦げない。手放しで焼ける。

次はハンバーグを焼いてみた。今度は1000円フライパンも参加。
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これじゃあわかりにくいので、それぞれアップで。
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1000円のフライパンは本当に難しい。炒め物ならいいけれど、焼くには薄いので温度が定まらない。
焦げるし、中は肉汁がすっかり飛んでしまった。


24cm2500円のフライパンはLOFTで購入。中火だと温度が240℃とかにすぐに上がってしまう。フッソ加工の耐熱が260℃なので、ここは気をつけていただきたいところ。
焦げないようにたびたび温度をあげたり下げたり工夫してみたが、やはり中に火は通りにくい。薄いフライパンはどうしてもしかたない。外はいい色になったけど、中は生焼け(赤マル)だった。
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スイスダイヤモンドフライパンで中火以下で焼いた。温度調節せず、蓋もせずとも上手に焼けて肉汁がたっぷり残る。中身もしっかり火が通る。
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プレミアムフライパンは、それぞれいかにして特性を出すかはさまざまだが、このスイスダイヤモンドの場合はわかりやすく、銅の5倍の熱伝導があるダイヤモンド粒子をコーティングしている。熱量が多く、均一に伝わる。このフライパンはプレミアムフライパンの中でも「中に火を通す」ことを第一にしていると思われる。


スイスダイヤモンドほど蓄熱性のあるものは、3分焼いて裏返して3分。あとは余熱で2.3分そのままおいておくと(できればフタをして)、驚くほど上等に焼ける。

ちょっとお高いが、「プレミアムフライパン」は、
調理の手間が少なく、
均一に熱が伝わり、
うまみを閉じ込めて美味しくでき、
耐久性にすぐれ、
安全性にも優れている。


安いのを買って劣化したら次々に買い替えるという考えもそれはそれでありだろうが、なるべく買い替える機会を減らして、使いやすく美味しく作るなら、プレミアムフライパンにこしたことはないと思う。

パンケーキとハンバーグだけでなく、ジャガイモやレンコンを焼いたり、餃子や鶏肉などをジューシーに焼いたりと、プレミアムフライパンなら確かに美味しさの可能性は広がるはず。
今回は鉄は比べませんでしが、鉄は鉄でまた素晴らしい特性がある。

追記2017.12.10
現在は輸入元が変更になったため、キッチンパラダイスでの取り扱いを休止中です。現在は同じ性能をもっているスキャンパンを販売しています。


追記2016.2.27
この実験は、あまり温度調節をせずに焼いた例です。温度が一定になり素材に熱が通りやすいプレミアムフライパンと、温度変化がしやすい薄手のフライパンでは、この温度調節の手間が大きな違いです。
よい道具は手間をかけなくてもほとんど失敗がなくうまく焼けるという一例です。
薄手のフライパンでは絶対焦げるという例ではないことをご了承 ください。
by kitchenparadise | 2016-02-22 17:37 | 道具:フライパンや鍋

カメラとピロリと私をめぐる冒険

11月から胃の調子が悪く、1か月近くのおかゆ生活。それからいったん良くなるも、また年明けに少しアルコール飲んで天ぷら食べた時からまた胃が重い。内科にかかると、ウイルス胃腸炎だというのでしばらく安静にと言われたが回復せず、ならストレス性だと言われ、近所の心療内科医にみせるも、「心配なら胃腸の薬あげときましょう」と言われ、それでも完璧には良くならず。ありがたいことに4キロも体重が落ちたし、安上がりなダイエットなのだが、さすがに年をまたぐと心配になってきた。
そんなかんなで2か月がダラダラと過ぎてしまい、そろそろ胃カメラ検査でもしないとなーと思っていたところ、知人から「それは間違いなくピロリだ!」と指摘されたのが3週間前。
彼も胃を長く患い、とうとう胃カメラ検査したところピロリ菌が発見されたらしい。1週間の投薬で驚くほど回復したという。医師から「ピロリを退治したら胃の調子も良くなるし、胃がんになる可能性が10分の1だ。」と言われたらしく、本人は心身ともに絶好調の胃生活を送っているようだ。

仕方ない。胃カメラやってみるかなーと、友人から勧められた胃腸科に先週行ってきた。朝ごはんは念のために抜いてきましたと言うと、その日のうちに検査に。
麻酔で全く痛みはなかったけれど、のどを広げる薬とかを飲むのが少しイヤな感じ。検査のあとすやすやと1時間ほど寝てたらしい。起きてから結果発表。
「田中さん、ポリープが50個、いや100個くらいありますよ。去年、健康診断で気づかなかったの?」

「ひっえ~!!!ほんとですかー?????」

「ピロリでしょうね。検査に出しますから、ピロリがでたら1週間投薬しましょう。」
「はい、そのほうが安心です。」

かくして、昨日からピロリ絶滅のためのクスリをスタートするはずなのでした。

昨日、検査結果を聞くために病院に行くと、
「ピロリは認められずだってよ。ピロリいないねえ。ポリープも胃がんにつながるものじゃなかったよ。」
「いえ、先生!ピロリいるはずです!」
「んなこといっても、いなかったから。いたほうがよかったの?」
「いないと胃痛の原因がふにおちません。」
「でもね~。いないからね。」
「じゃあ、私のここ数か月の胃痛の原因はなんなんですか?」
「まぁ、一般的には不摂生か、、、」
「不摂生してません!いいものほどほどにしか食べてません!」(ほんとイヤな患者だ)
「じゃあ、ストレスかな。」
「じゃあ、って。汗)ストレスそんなにないんです。」
「じゃあ、体質だ。ようは原因はわからないんだよ。」

先生にくいついても答えがでるわけもなく、胃酸をおさえる薬をもらって、ボチボチ回復をまつことにした。

3か月間に渡り、アルコールを全く飲まず、肉を食べず、お付き合いもお断りして大変申し訳ございません。
今回は薬を飲んで直す所存です。ストレスってそんな思いつかないのに、心と体は別で、体は勝手にストレス感じてるのかもしれません。
もう少し大人しくしておきます。

おーい、ピロリやーい。隠れてないかーい?
いないか...。
by kitchenparadise | 2016-02-20 16:02 | 私の日常と家族

お嬢の反省、私の反省。

今朝起きるやいなや、我がお嬢(16)が「しまった!」と言った。
「どうしたの?」
「雑誌モニターの締切が今日までだった。今日までに雑誌社に着かないとダメだった!」
「それは残念だったね。」と、返すと、
「何日か前に、ママに封筒買ってきてって頼んでおいたのに。ママが忘れてるからだよ!」と言う。
「あれ、ママのせいだと?」
「ママのせい、ってわけでもないけど.....。ブツブツ...」

いやいや、明らかに一瞬ママのせいにしましたよ、お嬢様。
そこで思い出した。友人の息子がバイトに遅刻しそうになった理由を、「お母さんが早く起こさなかったからだ。」と彼女を責めたのだという。しかも「起こすのは母さんの役目だろう。」とわけのわからないことを言われたと、相当怒っていた。

私もあるある。2回起こしても起きなかったくせに、学校に遅刻しそうになり、「もっとたたき起こしてくれればよかったのに。」などと責任転嫁された。私が甘やかしているからなのか。うちでなくてもどこの家庭でもよくある話かもしれない。

今日はお嬢に話した。
「今日の雑誌モニターの話だけど、自分がそんなにしたいことなら、自分で管理して、自分で封筒買ってだすべき。詳細なんて知らないし、私のせいにするのはおかしい。」
「それは確かにそうやね。ごめんごめん。」

お嬢は、素直さがとりえ。悪いと思ったことに関しては、すぐ詫びるのはなかなか良い。

そんなわけで、私も詫びる。
「確かにすぐに封筒渡さなかったのは悪かったね。」


人にはみんな防衛機制があり、とっさに自分の非を認めたくないと思ってしまうらしい。自分の頑張りが足りないとか、今回のように忘れっぽいとか、そういうのをまわりのせいにする防衛本能。会社の環境がこうだからモチベーションが上がらない、学校の先生の教え方が悪いから成績が上がらない。

確かに会社や学校など多少の環境の問題もあるだろう。にしても、ほとんどは自分の問題。
自分で反省して前に進まないと、一生だれかのせいにしてしまう。まずは自分を顧みるクセが必要。


すべては大人になる練習ですね。
いや、大人になっても練習中だけれど。
by kitchenparadise | 2016-02-19 18:22 | 私の日常と家族

「食を支える力 台所力」ミセスMOOK

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2013年にミセス特別編集ということで、こんなMOOK本がでている。
タイトルは「食をささえる力 台所力」だが、中身はほとんど、辰巳芳子先生の取材。彼女の本と言っていい。

私の師匠でもある檜山先生にも少なからず通じる部分が多いく、ことあるごとに読み返して、バイブルっぽく使っている。
お嬢のためにもう一冊キープしておこうとamazonを開いたら、この本のレビューの点数の悪さにおののいた。★がたったの2つですと!!!
もう、びっくりしちゃう。レビューはあてにならないなー。

中身は、
第一章 あなたにとって台所力とは
第二章 お米は日本人のいのちです
第三章 塩の力 酢の力
第四章 愛用の鍋をもっていますか
第五章 行事食と日本のこころ
第六章 いのち、尊く
となっていて、どれも、辰巳先生のエッセイとレシピ集を組み合わせた形でまとめてある。

冒頭部分。

「台所力とは、単に料理のうまい、下手ではなく、生きていくうえで欠かせない食を支える力のことです。
自分自身はもちろん、家族や大切な人たちのいのちをはぐくみ、幸せになるためのよりどころ。(中略)

食物の食べ心地を作るには。老若男女、年齢、立場のいかんかかわらず、料理の関心を持ち、努力を払い、いつしか何の苦もなく、自然に台所に立てるようになること。これが台所力です。」


なぜ女性ばかりが料理をしなくてはいけないのか、こんな高尚な料理を覚えろというのか、片付けが面倒だから料理も嫌だ、今は買えば何でも美味しいものが手に入る。
そんなことを思う方もいるでしょう。料理の関する価値観はいろいろ。女性がこんなにも働く時代には、昭和と同じことをやれといっても確かに無理かもしれない。


私が料理業を楽しくやれているのは、正しい道具を選ぶことによって、少ない時間でも美味しくできる技を知っていることと、料理の奥深さを知れば知るほど、料理がどんどん苦ではなくなるからだと思っている。仕事を言い訳にせず、忙しければ忙しいほどむしろ、もっと賢く美味しく料理をする方法を見出そうと自己挑戦する気持ちにもなってくる。

昨日、KBC九州朝日放送の「アサデス。」に檜山タミ先生が出演されてこうおっしゃった。
「手間のかかる料理を、手間だと思うか、喜びと思えるかね。」
深いでしょ。


「台所力」、雑誌のMOOKなので初版のみかもしれません。見つけたらぜひ手に取ってください。


by kitchenparadise | 2016-02-18 12:01 | 本と言葉

バイタミックスとダネッツの違い

アメリカのバイタミックスは、ここ数年とても人気を博している。8万以上する高価なブレンダーでパワーが大きいので、プロの調理道具と認識していたが、あれよあれよと一般家庭に浸透してきた。こんな商売しているから、「ね~、バイタミックス魅力的なんだけど、買ったほうがいい?普通のとどう違うの?」と何度質問されたか数えきれない。
バイタミックスは、一般のブレンダー(数千円~2.3万)に対して、高速ブレンダーという部類。3倍から5倍のパワーがあり、氷や種、冷凍くだものなども粉砕できる。食物の細胞を分子レベルまで細かくできるので、舌触りがなめらかなジュースやスープを楽しめ、普段捨てている皮や種なども丸ごと調理できるというわけ。
この「丸ごと食べる」というのが、近年注目の抗酸化物質の摂取することになり、ホールフードの考えに一致していることから人気がでてのかもしれない。
もともとプロ用でもあり、耐久性も抜群で、7分間回し続けても大丈夫。摩擦熱によって温かいスープも作れるおまけつきも嬉しい。

で、こんなに高速ブレンダーの良さが市民権を得ると、当然後発のメーカーがでてくる。最近はこのような後発を、ジェネリック家電ということもあるらしい。(本来の意味はちょっと違うけれど)

とにかく、後発がでると、また友人に聞かれる。
「ねーねー、バイタミックスと、ダネッツとどっちがいい?」

言っていいですか。ほんとにもう、わかりません。後発だから、いいとこ取りして少し安いんじゃないのというくらい。チェックしてみると、確かに17000円安く63000円。
聞かれて答えられないのはしゃくなので、年末から同時に使うことにしてみた。
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ポテトスープを作る時もそれぞれに入れ、イチゴ豆乳の時もそれぞれに入れ、どんなにめんどくさいことか。
結果はその②でご報告いたします。

ダネッツはご覧のように、液晶になっていて、それがとても使いやすくて私は好き。パワーというか、舌触りは全く違いが判りませぬ!も少し使ってみます。



追記:1年使ってみて、改めてテスト結果を書きました。その2です。
by kitchenparadise | 2016-02-17 11:36 | 道具・調理家電

桧山タミ先生の社会科見学

先日、料理家のひやタミ先生とデパ地下見学に行ってきました。
先生のスタジオは、この百貨店から車で5.6分とほど近いのに、一度も行ったことがないそうでして。

肉は肉屋に、魚は魚屋、豆腐は豆腐屋にそれぞれ届けてもらっているようだし、息子さんが無農薬で野菜を作っているし、昆布や海苔、練り物などは、柳橋市場にたまに買いに行けばよいらしく、デパ地下には用事がないようなのです。どんなものを売っているのか見学に行きたいとのこと。

先生の後ろをひたすらついて回りました。
「あらまぁ。ほうれん草が茹でて売ってあるなんて...。」
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「時間が経つと栄養が落ちるし、自分で茹でたらいいのにねー。入れ物がもったいないねー。」
「確かに。でもほら、ガスコンロが無いとかかもしれないしですね、先生。」「そう....:。」


「チキンソテーの素がなんで要ると?何が入っているんやろうか。」興味深く裏を読む先生。
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から揚げの素、ステーキの素、鍋の素、などを一通り全部みて
「こんなことになってるっちゃね...。」と、何度も首を振りながら歩く先生なのでした。

野菜のコーナーでは、冬にトマトの種類があまりにも多いのにびっくり。
ここでは厳しい表情です。
「こんなにハウス栽培が増えたら、エネルギーがいくらあっても足りない。」
「季節に反しない方法で食べないと、栄養価も少なくなりますよ。」
「ほうれん草もこんなたくさんあるけれど、ひとつとして在来種のは無い。」
野菜売り場では、その育て方や味の違いなどを教えてていただきながら、長い時間をかけました。

その後、カフェで一休み。
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せっかく半分にしてもらった有名店のクロワッサンも、香りを嗅いだだけで手をつけず。汗)
「冷凍?」
「ハイ。そうです。でもパリからきてます。」
「そ。」
先生の基準は厳しいです。選ばれた小麦粉とバターしか口になさいません。それはやはり、子どもの頃から体が弱く、長くは生きられないと言われた体験からもあるそうです。自分に合わないものを口にすると、体がすぐに反応するのだとか。パンはお持ち帰りになりました。

最後は、バレンタインのチョコを見学した後、お惣菜のコーナーへ。
ガラスの陳列ケースの前でたびたび立ち止まる先生。じーっと見つめて歩きだし、またじーっと見つめて歩き出します。
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「今の現状を知って理解しなくては。」が、先生の最近の口ぐせ。
「時代が変わっても変わってはいけないことがあるからね。でも、昔と今は違う。ダメダメじゃ、今の人には通じない。私も、今をちゃんと知ったうえで、本当のことを教えていかないと。」

今年1月に90歳になられた桧山先生。挑戦はまだまだ続きます。


by kitchenparadise | 2016-02-16 12:21 | 私の日常と家族

IH土鍋は残念。

IHクッキングヒーターが発売されて久しいですが、使える鍋が限られてしまうことが一番の課題でした。
オールメタルが登場して、どうにかアルミや銅鍋などが使えますが、それでもIHでは土鍋が使えませんでした。いえ正確には、メーカーによっては「使えません」と注意書きをしている場合が多いものの、実際にはIH用土鍋がたくさん販売されています。つまり、使える土鍋があるわけです。

基本的には磁石に反応するものしか使えませんが、土鍋は「土」ですから当然磁石に反応しません。なので、「発熱体」と呼ばれる磁性のある物質を鍋に入れておくか、鍋底に貼るか転写する、あるいは鍋の中に埋め込んでしまうことになります。
IH土鍋を考えた当初はとてもシンプルで、ステンレスの加熱プレートを中に沈めておくのが主流でした。問題点は、このステンレスが汚れること、鍋との隙間ができて調味料が入り込むこと、そして温まるのが遅いことです。ステンレスが温まり、それが出汁を温め、出汁が土鍋を温めるという、土の本来の良さを無視した土鍋になってしまいます。(今でももちろんこのやり方で多く販売されてはいます)

現在は、鍋の外側の底部分に発熱体であるカーボンや銀を転写したものが主流ではないでしょうか。ペタライトを含んだ膨張率の小さいものなら可能ですが、いわゆる土モノっぽいものには不可能です。転写した発熱体だけが熱を持つと剥がれてしまうからです。
最近たまにある発熱体金属を中に埋め込む土鍋もあります。陶器のセラミックをコーティングしたりして、割れにくく焦げにくくなるように工夫されています。

どのように作っても同じなのは、土は基本的にIHに反応しないということ。
発熱体だけが温まってまわりの土(陶器)がじわじわ温まるのでは、ガスのように包み込むような熱の伝わりは難しいということです。温まるのも当然遅いはずです。

膨張率を考えると自然の土だけで作った鍋の発熱体をくっつけることは不可能です。自分の好きな窯元の作家さんに「この土鍋はIHで使えますか?」と聞くのはやめたほうがいいでしょう。大量生産以外では、ほぼ作っていないと思われます。

私は、土鍋本来の良さを十分に味わうのであれば、IH土鍋よりむしろ、鉄鍋のほうがいいのではないかと思います。いい鉄鍋がたくさんあります。でなければ、鍋の時だけ卓上コンロとか。
私だけの見解ですのでご了承を。


ブログ:IHクッキングヒーターの〇と×
ブログ:空焚きできる土鍋とは
by kitchenparadise | 2016-02-15 16:49 | 道具:フライパンや鍋


福岡の台所道具専門店「キッチンパラダイス」のオーナーAYAの日記。調理道具の実験や考察、お店のお知らせ、そのほか個人的な日常も毎日綴ります。ご連絡はキッチンパラダイスのHPからどうぞ。


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