神様のお仕事
もうすぐ、このブログをお店のHPに移動させるにあたって、10年前からのブログの削除をしています。移行が重すぎるといけないので、古い情報は消してから移動させようと思っているのです。
2010年に自分が書いたブログを見て、朝から涙が止まらなくなりました。
6年も前に他界した姉が病院に入院していた時のことを短くつづった内容でした。
その当時は「姉のこと」とは書いていません。
姉は、血管炎という難しい病気になりこの世を去る前まで、5年間も入院していました。
彼女が入院したのは、上の娘が年長さんで、下が8か月。生まれたばかりでした。(いまは6年生です)
ブログの日から考えると、姉がいまの医療では治らない病気だとわかったころ。しかも腎臓が壊れてやもなく透析を始めて3か月たったころです。
「入院がすっかり長くなっちゃったね。こんどは薬が効くといいね」
わたしがそう言ったら姉はこう答えました。
「そうね。これから先は神様のおしごと」
姉はその言葉を発したあとまもなく脳梗塞になり、言葉を出すのが難しくなりました。そのあと数年かけて体の機能が徐々に低下し、3年後に亡くなりました。
姉はどんな気持ちで「神様のおしごと」って私に言ったのだろうと考えます。
「みらいおにぎり」(桧山タミ著)の企画と編集にたずさわりました。姉も桧山先生とは親しくさせていただいていました。
本の中で、93歳の桧山タミ先生は、「いつまで生きるの?」の問いにこう答えるのです。
(以下ネタバレですいません)
「神様がどうお考えかわからないけれど、タミさんもう来ていいよと呼ばれたらいつでも行きます」
「わたしは死ぬことよりむしろ泥棒が怖い。悪さをしようとする人間のほうがよほど怖いです」
姉と同じ。神様というのか運命に身をまかせ、感謝の中で生きる人です。
死ぬか生きるかより、泥棒のように悪い魂の人を交わるほうが怖いか。先生らしい。
森美術館で開催され塩田ちはる展にあったベルリンの映像でも小学生が同じことをいっていました。
「魂はあるかないかでなく、良いか悪いかだと思う」
姉の純粋で良い魂は、いつも私の近くにいます。
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by kitchenparadise
| 2019-11-29 10:21
| 私、こう思う
「みらいおにぎり」発売日
きょう11/27(水)は、

桧山タミ先生の本「みらいおにぎり」の発売日です。
先生の地元福岡では、明日か明後日に店頭に並ぶ予定です。
キッチンパラダイスでは今日もう入荷してきましたので店頭でもオンラインでも購入いただけます。

この表紙の女の子は、今年2月に桧山先生にお手紙をくださった某福岡市内小学校の4年生の女の子。
とても素直で純粋な問いかけをしてくれる子供たちの手紙を読んでその小学校に授業に出向くことになったのが、先生がこの本を書かれるきっかけとなりました。
先生は桧山塾の授業の時、子どもたちや家族のありかたについてよくお話になります。
自分が人の気持ちをわかるようになったのは、大人数で育ったからではないか。
家族が忙しくてもまわりの人たちが面倒をみてくれた。
学校はおおらかで自由な時代で、ご近所さんとの行き来も多かった。
物がないからなんでも工夫して作っていた。
兄弟が多いから手取り足取りしてもらう時間はなかったけれど、今考えるとお母さんの後姿をみながら大きくなったと思う。おかあさんはめったに怒らない人だった。
先生の子供時代の話は、「いまの時代はそんなの無理ですよ」と言ってしまう人もいるかもしれません。
でも、そこに桧山先生がのびのびと優しく真の強い女性に育った所以が確かにあると思わずにはいられないのです。
多くの苦難を乗り越えてきた桧山先生が93歳のいまもなお誰より大らかで、純粋でまっすぐで、茶目っ気たっぷりで、勤勉で、なによりいつも幸せであることが、常に私の足もとも照らしています。
小学校高学年なら読める内容ですが、きっと純粋な大人の方にも楽しく読んでいただけると思います。
桧山タミ「みらいおにぎり」 1400円(税別) 文芸春秋刊
アマゾンなどのオンライン書店、各地の書店、そしてキチパラオンラインでお買い求めください。
なお、先生の最初で最後の「握手会」(写真撮影可)が、市内某所で行われます。
詳細は、「いのち愛しむ人生キッチン」のフェイスブック、文藝春秋のツイッターなどで、明日11/28(木)午前10時に発表されます。
限定50と聞いていますのでぜひ10時にご確認ください。
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by kitchenparadise
| 2019-11-27 17:22
| 桧山タミ先生
携帯落語

しばらく前のこと。近所の文具店のレジで、ファイルを買っていると、カウンターに置きっぱなしの携帯が鳴った。
店員さんから「お客様のですか?」と聞かれたけど、私の赤い携帯は手の中にある。
どうやら私の前にレジで支払していた女性が忘れたらしい。
私は店員さんに「ずっと携帯鳴ってるから、きっと携帯忘れた本人が自分の携帯鳴らしてるんですよ。お店の方がでたらどうでしょう?」とその白い忘れ物携帯を手渡した。人の携帯に出るってことに気乗りがしないらしく、店員さんは恐る恐る携帯を開いて応対していた。
「(店員)あの~。すいません。これお店に忘れていかれた携帯なんですがー、私本人じゃないんですよー。」
どうやら携帯の持ち主からの電話じゃなかったらしい。
あーまた鳴っている。携帯失くすと本当に不便だろうなと思いながらお店を後にした。
その日は丸一日仕事で忙しく、夕方まで食事もとれなかった。珍しく携帯も鳴らない。
「そういえば携帯鳴らないけど・・・どこ置いてたっけ?」
バッグを探しても車を探しても無い。鳴らしても近くでは鳴らない。車の座席の下もないので、自宅にいた娘に電話するも「探したけどママの携帯無いよー。」という。
念のため夕方一度車で自宅に帰って、自宅の電話を鳴らしながら探し続けること30分。
30秒鳴らし、また30秒鳴らし、また30秒鳴らし。
「なーい!!私の携帯、どこなの~!!!」
と、その時、めずらしく自宅の固定電話が鳴った。
「(私)ハイ、もしもし。」
「こちらT文具ですけど、今赤い携帯を鳴らされましたか? 自宅からってでてたので電話かけてみました。カウンターにお忘れです。」
誰かの忘れ物携帯を店員さんに手渡した時に、自分の赤い携帯をカウンターに忘れていたらしい。
携帯なくすとほんと不便です。お気を付けください。笑)
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by kitchenparadise
| 2019-11-26 11:19
| 私の日常と家族
小鯵を銅で揚げる

釣好きの友人からまたもやアジゴを50匹ももらってしまいました。予告なしに「いまから50匹あげるね」とラインがきたのが18時。取りに行ったのが19時。映画のレイトショーを急きょ取りやめて、下処理に追われました。笑)
南蛮と甘露煮を半分づつ作ろうと決めました。
大量に揚げるときは、銅の鍋が一番です。たくさん一度に揚げても温度が落ちませんから。

私のこの銅鍋は、よく天ぷらやさんでも使われている「砲金」という種類で、銅が90%錫が10%(亜鉛も少しはいっている)の合金です。色がきれいで変色しづらく、腐食もしづらいので揚鍋としては長い間プロの方を中心に好まれていました。
残念ながら10年ほど前からほとんど作られなくなり、とうとうなくなってしまいました。いまは生産してないと聞いてます。
うちでは売っていませんが、どこかでまた残っていたら購入されることをお勧めします。
こんなたくさんのアジを入れても全く温度が落ちず、150℃と決めたら、弱火のままできっかりその温度を保ってくれます。
特に分厚い銅鍋は自由度がとても高いのです。驚くほどの料理がうまくいく近道っていうんでしょうか。まかせて安心の鍋。
南蛮漬は25匹。釣って3時間以内にカラッと揚げてますから新鮮でおいしいです。誰が作ってもね。笑)

銅鍋の保温の話をすると、先日私もうかがった西中洲の老舗「おでん安兵衛」の鍋ははずせません。
やはり銅鍋ですね。

ぐらぐら沸騰させず、ちょうどよい温度で一定のおだやかな熱を伝えるので味もよくしみて、煮崩れなんてゼロです。
長時間煮るおでんやさんで銅鍋が使用されるのは意味があるのです。
のこり半分のアジは2.5Lの小さめWMFの圧力鍋にかけて、甘露煮にしました。
圧力鍋はあまり使わないのですが、おでんのスジ肉をやわらかくするときと、魚の骨まで食べたい時には活用しています。
アジゴは10分も圧力かけると、お子さんでも食べれるやわらかさなります。銅鍋で煮るのもおいしいです。銅鍋だと骨まで軟らかくはならないことが多いのですが、圧力鍋より身にコシがありよりおいしいです。

道具は適材適所です。一番おいしく、しかも便利に作る道具を知ると、料理が簡単になります。
銅鍋と銅の玉子焼フェアを開催しています。銅鍋はそろそろ終わりです。お早目にどうぞ。
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by kitchenparadise
| 2019-11-25 14:51
| 道具:銅鍋
受け継いでいく
東京の大学に通う娘が二十歳になりました。週末、成人式の前撮りで帰ってきました。
小さい頃からお世話になっている美容室で着付けしていただき、大濠公園で撮影しました。

小さい頃からお世話になっている美容室で着付けしていただき、大濠公園で撮影しました。

30年前に私が着た振袖に、櫛・かんざしは40年前に他界した祖母がお嫁入りのときに使ったものです。ですから、少なくとも100年前のもの。
自分が付けたときには何の感慨もなかったのですが、こうやって母となって娘をみると、明治を生きた祖母の母も同じように思いの中でこのかんざしをさす娘を眺めていたのだろうと思うと、いつの時代も人の気持ちのありようは同じなのだなぁとなんだか不思議な気持ちになります。
久しぶりに帰ってきた娘には、彼女の好きな出し巻とりんご蒸しを作りました。帰ってきても夜は友人らと食事に出かけるので、うちでは食べません。友人たちとの遊びに忙しいので、朝ごはんも食べたり食べなかったり。それでも出し巻とリンゴ煮はあれば食べてでかけます。
代わりばえのしない銅の玉子焼で作った朝の出し巻と

自分が付けたときには何の感慨もなかったのですが、こうやって母となって娘をみると、明治を生きた祖母の母も同じように思いの中でこのかんざしをさす娘を眺めていたのだろうと思うと、いつの時代も人の気持ちのありようは同じなのだなぁとなんだか不思議な気持ちになります。
久しぶりに帰ってきた娘には、彼女の好きな出し巻とりんご蒸しを作りました。帰ってきても夜は友人らと食事に出かけるので、うちでは食べません。友人たちとの遊びに忙しいので、朝ごはんも食べたり食べなかったり。それでも出し巻とリンゴ煮はあれば食べてでかけます。
代わりばえのしない銅の玉子焼で作った朝の出し巻と

銅鍋で作ったリンゴ蒸しと。


この銅の道具たちは100年後、いったい誰が使っているのかしら。銅や鉄の道具は捨てるものはなく、大切に使えます。良い道具ならなおさらです。
使い方を知らないで「やだー、変色したから捨てよ」なんて未来の誰かが言わないように、娘に伝えるのはもちろんですが、あらゆる方法を使って伝え続け、受け継ぐことの大切さとその道具に込めた思いを伝えていかなくてなと思います。
先週、初めてのお客様が古いすし桶をもってお店にこられました。お母さまの家にあったすし桶のタガが外れているから直してもらえないかとのこと。銅タガは紛失していました。なかなか自社以外の製品を直してくれるところはいまは近くにありません。
もったいないなぁと思いながら修理はお断りするしかありませんでした。
タガは、外れても早い時期ならすぐに元に戻せます。知っていればいくらでも持たせることはできるんですよね。
(そのすし桶はタガにくぎを打っており、それもちょっとやりにくい点ではあったのですが)
以前書いた、Aya's Diaryの「すし桶のタガがゆるんだら」をご覧ください。
娘の100年かんざしを眺めながら、自分のワイフワークを見つめなおした1日でした。
使い方を知らないで「やだー、変色したから捨てよ」なんて未来の誰かが言わないように、娘に伝えるのはもちろんですが、あらゆる方法を使って伝え続け、受け継ぐことの大切さとその道具に込めた思いを伝えていかなくてなと思います。
先週、初めてのお客様が古いすし桶をもってお店にこられました。お母さまの家にあったすし桶のタガが外れているから直してもらえないかとのこと。銅タガは紛失していました。なかなか自社以外の製品を直してくれるところはいまは近くにありません。
もったいないなぁと思いながら修理はお断りするしかありませんでした。
タガは、外れても早い時期ならすぐに元に戻せます。知っていればいくらでも持たせることはできるんですよね。
(そのすし桶はタガにくぎを打っており、それもちょっとやりにくい点ではあったのですが)
以前書いた、Aya's Diaryの「すし桶のタガがゆるんだら」をご覧ください。
娘の100年かんざしを眺めながら、自分のワイフワークを見つめなおした1日でした。
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by kitchenparadise
| 2019-11-19 12:01
| 私の日常と家族

福岡の台所道具専門店「キッチンパラダイス」のオーナー日記。お店のお知らせ、調理道具の実験や考察、そのほか個人的な日常も毎日綴ります。ご連絡はキッチンパラダイスのHPからどうぞ。
by kitchenparadise
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